自動車会社の第1四半期決算が出揃った。
国内販売の苦戦を海外の伸びで補うメーカーが目立つ。原価低減の取り組みも利益を押し上げた。
トヨタでは日本の利益が激減し、北米の利益は倍増している。日産自動車も日本の利益減を北米とアジアで補った。第1四半期決算(単位:億円)
営業利益 |
同左 |
営業利益内訳 ( )は前年同期 | ||||||||
当期 | 前年同期 | 増減 | 日本 | 北米 | アジア | |||||
トヨタ | 6,927 | 6,634 | 293 | 400 | 3,660 | (4,561) | 1,655 | (827) | 1,104 | (1,042) |
日産自動車 | 1,226 | 1,081 | 145 | 415 | 569 | ( 748) | 510 | (418) | 102 | ( 71) |
ホンダ | 1,980 | 1,850 | 130 | 251 | 621 | ( 622) | 675 | (719) | 653 | ( 538) |
富士重 | 787 | 696 | 91 | 30 | ||||||
マツダ | 564 | 365 | 199 | 68 | 424 | ( 270) | 42 | ( 11) |
? |
|
スズキ | 509 | 441 | 68 | 26 | 338 | ( 308) | 151 | ( 199) | ||
三菱自動車 | 310 | 160 | 150 | 35 | 111 | ( 106) | 8 | ( -18) | 113 | ( 69) |
本年1月から6月までの半年間に国内の主な自動車メーカー8社が日本から海外に輸出した車の台数は前年同時期を 5.4%下回った。
このうち、トヨタ自動車は、アメリカでの高級車の販売拡大に向けて九州で生産していた一部をアメリカとカナダの工場に移したことなどから11%減少、日産自動車も、SUVの新型車の一部の生産を去年の秋以降九州の工場からアメリカに移したことなどから5.4%減少しているほか、ホンダは、主力小型車の生産の一部をことし2月にメキシコに移したため、74.5%の大幅な減少になっている。(NHK)
これらは円安になってからの海外移管であり、ショックである。
2014/8/1 貿易赤字の裏側
円安が始まる前の2012年上期と昨年上期、本年上期の各社の輸出台数を比較した。
乗用車 (千台)
2012/1-6 2013/1-6 2014/1-6 2012年比 トヨタ 926 874 763 -163 日産自動車 311 212 195 -116 マツダ 326 382 395 69 三菱自動車 190 156 179 -11 ダイハツ 6 4 4 -2 ホンダ 147 65 17 -131 富士重工業 190 217 259 68 スズキ 91 72 58 -32 合計 2,188 1,981 1,870 -318
2012年末から円安が始まったが、乗用車についてみると、2013年上期に前年と比べ 207千台減少し、本年上期は更に111千台減少した。
本年上期は円高だった2012年上期と比べ、14.5%も減少した。
乗用車、トラック、バスを含めた全輸出台数をみても同じ傾向である。
自動車メーカーの好決算は、日本の工場が稼いだものではなく、海外の工場で生産し、海外で販売した自動車が増加し、海外の利益が急増、円安により円換算の利益が増加したということである。
自動車メーカーの株主にとっては好ましいことだが、その見返りに、エネルギーや食料品の輸入価格が円安で急増し、生活が苦しくなっている。
6月のコアCPIは消費税アップの影響を除くと前年比1.3%アップだが、食料とエネルギーを除くコアコアCPIのアップは0.3%でしかない。
現在の値上げは、円安でのエネルギーや輸入原料のアップをやむを得ず転嫁しているものであり、国内メーカーの付加価値は増えていない。
アベノミクスの狙いは、円安で輸出が増え、国内生産が増え、給料があがるということであった。
実際には、円安のメリットは実現せず、デメリットのみが出ている。
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