東洋エンジニアリングは8月21日、マレーシア国営石油会社 Petronasが同国南部ジョホール州Pengerang で計画している石油精製・石油化学総合開発計画 RAPID(Refinery and Petrochemical Integrated Development)のうち、中核をなすスチーム・クラッカー・コンプレックスを一括受注したと発表した。
客先 PRPC Refinery and Cracker Sdn. Bhd.(マレーシア国営 Petronasの子会社) 建設地 ジョホール州Pengerang 対象設備 エチレン製造設備、分解ガソリン製造設備、ブタジエン抽出設備、ベンゼン抽出設備、MTBE製造設備、用役および付帯設備
原料はナフサ
2012年7月にCB&I の技術が採用されている。役務内容 EPCC(設計、機器資材の調達、工事、試運転の一括請負 ) 完成時期 2019年中旬を予定 受注金額 約2,400億円
報道によると、入札では、中国のSinopecが一番札を取得し、内示を受けていたが、技術的な面での対応が不十分と判断され、Petronasが 東洋エンジニアリングを選んだという。
Petronasは8月11日、上記を含め11件の契約を行ったことを明らかにしている。
製油所関連のEPCC(設計・調達・工事・試運転)が4件、付帯関連が6件と東洋エンジの合計11件で、製油所関連の1つには、千代田化工がコンソーシアムの一員として含まれている。
製油所関連:
残油流動接触分解装置、LPG処理装置、プロピレン回収装置、caustic中和装置 consortium of
CTCI Corp.(中鼎工程公司)
千代田化工
Synerlitz (Malaysia) Sdn. Bhd.
MIE Industrial Sdn. Bhd.原油蒸留装置、常圧残油脱硫装置、水素回収・供給装置 Sinopec Engineering (Group) Co. Ltd. ケロシン水素化装置、ディーゼル水素化装置、ナフサ水素化装置ほか Tecnicas Reunidas SA(スペイン) アミン回収装置、硫黄回収装置、Sour water 除去装置、液体硫黄貯蔵装置、硫黄固体化装置 Petrofac International (UAE) LLC
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Petronasは2014年4月、ジョホール州Pengerang の総合石油コンプレックス PIPC(Pengerang Integrated Petroleum Complex)に270億米ドルの最終投資決定を行ったと明らかにした。
マレーシアの新たな成長を目指した経済改革計画の一環の事業で、今後の同国でのエネルギー需要を満たすと共に、アジア化学品市場におけるペトロナスの競争力強化を目指すもの 。
6,242エーカーの敷地内に、石油精製・石油化学総合開発(RAPID) のほか、コージェネレーション設備(1300 MW)、LNG受入基地、LNG再ガス化設備、空気分離装置、 真水供給設備、原油・製品タンク、ユーティリティーなどを建設する。
総投資額270億ドルのうち、RAPIDに160億ドル、その他に110億ドルを投じる。
RAPIDの内容は下記の通り。
製油所(日量30万バーレル):ガソリン・ディーゼル(欧州排ガス規制
Euro 4、Euro 5)、LPG、ナフサ
ナフサクラッカー(製品合計300万トン/年)
各種誘導品
石油化学については、能力その他は明らかにされていないが、断片的に以下の発表が行われている。
ナフサクラッカー
過酸化水素と酸化プロピレン
EvonikとPetronasは2013年1月、過酸化水素、1-ブテン、オキソ製品のJVを設立する覚書を締結した。報道では過酸化水素は25万トン、1-ブテン 11万トン、イソノナノール 22万トンとなっている。
酸化プロピレンはEvonikとThyssenKrupp Uhdeが開発したHPPO processを採用するとされている。
一部石油化学
2012年5月、伊藤忠商事およびタイのPTT Global ChemicalはPetronasとの間で一部石油化学事業の事業化調査に関する覚書を締結。
2012/5/21 伊藤忠、マレーシアの石油精製・石化計画(RAPID)に参加
ポリエチレン
INEOS Technologiesは2012年11月、LLDPE/HDPE(350千トン)計画に Innovene G 技術が採用されたと発表。
ポリプロピレン
Lyondellbasellは2012年12月、PP(2系列合計 600千トン)計画に Spheripol PP 技術が採用されたと発表。
合成ゴム
イタリアのEniの子会社の Versalis とPetronasは2013年11月、合成ゴム(4製品)の製造販売のJVの設立契約を締結した。
Petronasが60%、Versalisが40%を出資する。
キュメン、フェノール、ビスフェノールA 未定
Specialty chemical products (取り止め)
BASFとPetronasは2012年3月、specialty chemical products のJV設立の覚書を締結した。
しかし、両社は2013年1月、合意に達しなかったとして、取り止めた。
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