富士フィルム、エボラ出血熱患者に「アビガン」提供

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富士フイルムは9月26日、グループの富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン® 錠200mg」:一般名 ファビピラビル(favipiravir) が、エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため、フランスの病院で投与されたと発表した。

フランス政府機関であるFrench National Agency for Medicines and Health Products Safety から富士フイルムに対して、エボラ出血熱ウイルスに感染したフランス人女性看護師の治療用としてアビガン錠の提供の依頼があり、日本政府と協議の上、緊急対応としてこれに応えた。

投与されたフランス人女性は、リベリア共和国の首都モンロビアで医療活動に従事している中、エボラ出血熱ウイルスに感染していることが判明し、治療のためにフランスへ移送された。9 月25日時点で、患者はアビガン錠を服用中。

付記

富士フイルムは10月6日、フランス政府機関(ANSM)から、「アビガン錠」を含む3剤を服用していたエボラ出血熱によるフランス人女性患者が、4日に無事退院したとの連絡を受けたと発表した。

また、ドイツでも、シエラレオネ共和国で医療活動に従事している中、エボラ出血熱ウイルスに感染していることが判明しフランクフルト大学病院に搬送されたウガンダ人のエボラ出血熱患者に10月4日、「アビガン錠」が投与された。ドイツから同剤の提供依頼があり、日本政府と協議の上で緊急対応していた。

また、フランス政府とギニア政府が、11月よりギニアで、エボラ出血熱に対する「アビガン錠」の中規模の臨床試験を実施することを検討している。

付記

フランス国立保健衛生研究機構は2015年2月24日、「アビガン錠」の有効性が示唆される臨床試験の中間解析結果を発表した。

  • 治療開始時のエボラウイルス量が中程度から高い患者群:栄養や水分を補給する治療法と比べて死亡率が半減
  • 治療開始時のエボラウイルスが非常に高い患者群:死亡率減少のシグナルを見出せず。
  • インフルエンザ治療に比べて高用量で10日間投薬したが、有害事象は観察されなかった。

10月9日にはスペインとノルウェーで患者にアビガンが投与された。

付記

富士フイルムは10月20日、エボラ出血熱患者への投与拡大に備え、「アビガン錠」をエボラ出血熱対策として海外での使用を目的とした追加生産を決定したと発表した。

11月中旬よりギニアで行う臨床試験でエボラ出血熱に対する効果並びに安全性が認められた場合は、より大規模な臨床使用のための薬剤の提供要請が見込まれる。

現時点で2万人分の錠剤を有し、原薬としてさらに30万人分程度の在庫を保有しているが、感染規模がさらに拡大した場合においても十分な量を継続的に供給可能とするため、エボラ出血熱向けとしての「アビガン錠」の生産を11月中旬より行う。

付記

韓国保健福祉部は10月30日、「富士フイルムとの間でエボラ治療剤アビガンの供給について合意した」と明らかにした。
これに伴い、食品医薬品安全処は近い将来アビガンを緊急医薬品導入対象目録に追加、万一患者が発生した場合に使用する。

 

「アビガン® 錠200mg」は富山化学工業が開発した薬剤で、日本で抗インフルエンザウイルス薬として2014年3月に薬事承認を取得している。

2014/8/11 富士フイルムのインフルエンザ治験薬、エボラ出血熱治療に有望か

「アビガン® 錠200mg」の承認には厳しい条件がついている。

動物実験で初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。

日本人を対象にした薬物動態試験と追加臨床試験結果を医薬品医療機器総合機構に提出し、成績が確認されるまでは「原則製造禁止」 。
 (申請に用いたのが米国の試験結果で、日本人を対象にしたものがなかった。)

 但し、パンデミック時など厚労相が「要請」した際は製造できる。

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WHOは8月12日、エボラ出血熱の患者が過去最大の規模で増え続けている事態を受け、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにした。

2014/8/13   WHO、エボラ出血熱治療で未承認薬の使用容認   

田村厚労相は8月15日、インフルエンザ治療薬「アビガン錠200mg」について、「今般の緊急事態とすれば、医師の裁量というか処方によって使うのは薬事法違反とは認識していない」と述べた。

菅官房長官は8月25日、WHOや医療従事者の要請があれば 「アビガン」を提供する用意があると表明した。


米国は西アフリカのリベリアで感染した米国人2人に、
カリフォルニア州San DiegoのMapp Biopharmaceutical が開発し、Kentucky BioProcessing (Reynolds American Inc の子会社)が受託生産した未承認薬「ZMapp」を投与した。

米国人の医師 Dr. Kent Brantly はエボラ出血熱の発生以降はその治療活動に専念していて感染した。
同じキリスト教団体に所属する米国人女性、Nancy Writebol さんも、リベリアでの医療活動中に感染した。

「ZMapp」が冷凍状態でリベリアへ運ばれ、二人に投与された。

Nancy Writebol さんは8月19日、Dr. Brantlyは8月21日に退院した。

ただ投与時期が発症から1週間以上後と遅く、男性医師がエボラ熱から回復した少年から抗体を含む可能性がある輸血を受けていたため、感染症の専門家は薬の直接の効果かどうか疑問としている。

エボラ出血熱のウイルスに感染し、高熱や出血の症状が出ている18匹のサルに未承認薬「ZMapp」を投与したところ、全てのサルで感染症の治療効果が見られたとの試験結果が8月29日の英科学誌 Nature に公表された。

しかし、リベリアの情報相は8月25日、エボラ出血熱に感染し、未承認の治療薬「ZMapp」の投与を受けていた医師が死亡したと明らかにした。
同国ではリベリア2人、ナイジェリア1人の医師計3人に投与、当初は良好な反応を示していたが、うち1名が死亡した。

また、リベリアで感染後、スペインに帰国し、ZMappを投与されて治療を受けていた司祭男性(75)が8月12日に死亡している。



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