ブラジル鉄鋼会社 ウジミナスを巡る争い

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アルゼンチンのTernium グループは10月2日、Usiminas (Usinas Siderurgicas de Minas Gerais SA)の株式を買い増すと発表した。

ブラジル銀行年金基金から株式の10.2%を、過去半年の平均株価に42%のプレミアムを加えた 6億1670万レアル(約270億円)での買い取りで合意した。
Terniumグループの持ち株比率は27.66%から37.86%に上昇し、Usiminas の経営方針を巡り対立している新日鉄住金グループの比率(29.45%)を上回る。

新日鉄グループ(新日鉄、日本ウジミナス、三菱商事グループ)、Ternium グループ、従業員年金基金の3社は、2011年のブラジルの鉄鋼大手CSN (Companhia Siderurgica Nacional SA) による買収提案に対抗し、株主間協定を締結している。

ブラジルの鉄鋼大手CSN (Companhia Siderurgica Nacional SA) は2011年9月、同業のUsiminasの株主2社に対し、ウジミナスの議決権株式26%分の買い取りを正式に提案した。
CSNは8月末に、市場で同社株を購入し、現在、ウジミナスの普通株11.29%、優先株15.1%を保有していると発表している。

新日鉄は11月28日に、これに対抗し、大手鉄鋼会社Ternium Groupと年金基金の間で、協定株購入に関する契約および同社に関する新たな株主間協定を締結したと発表した。

1) 新日鉄が、ウジミナスの従業員年金基金から、全議決権の約1.69%相当を購入。
2) 中南米を拠点とする大手鉄鋼会社Ternium Groupが、CSNが株式購入を提案した相手のVotorantimとCamargo Correa 及び従業員年金基金から全議決権の約27.66%相当を22億ドルで購入。
3) 新日鉄グループ(新日鉄、日本ウジミナス、三菱商事グループ)、テルニウム・グループ、従業員年金基金の間で、新たな株主間協定を締結。
  重要事項を決める際には事前に協議し、株主総会でも共同歩調を取る。


2011/9/24  ブラジル鉄鋼大手CSN、ウジミナス株買い取りを提案 


新日鉄住金とTerniumの間には経営方針を巡る対立があった。

2012年1月に社長に就いたTernium出身のEguren氏は、投資と経費の削減、生産性向上、資産売却、人員整理など経営再建に努め、業績は目立って改善されてきた。

新日鉄住金は自動車用鋼板など高級品で収益拡大を目指しているのに対し、Terniumはコスト圧縮による短期収益改善と南米での自社販売網を活用した汎用品の販売拡大を狙っているとみられる。

Usiminasの経営審議会は9月26日、Terniumグループ出身のJulián Eguren社長と子会社社長、製造担当取締役の3人の解任を発表した。

経営審議会で賛否は5対5だったが、議長の判断で解任が決まった。

Terniumは、事前協議がなく、株主間協定に違反するとしたが、新日鉄住金は、会社の規定にない賞与を受け取ったコンプライアンス違反が理由とし、協定違反でないと主張した。

日本側は経営権の掌握のため、今回の社長を含む役員解任に出たと見られている が、表に出ている事実からだけでは、ちょっと強引すぎる感がある。

Terniumは「権利と投資に見合う適切な行動を取る」との声明を出したが、協定は失効したとみなし、自社が経営権を握るために買い増しをしたとみられる。

両サイドの投資目的が異なっているのであれば、妥協は困難と思われ、どちらかが支配権を握り、他方が撤退するしかないのではないかと思われる。


議決権推移

 

~2011年11月

2011/11協定 今回
新日鉄住金・日本ウジミナス社 26.14 27.83 27.83
三菱商事・メタルワン 1.62 1.62 1.62
日本グループ合計 27.76 29.45 29.45
Votorantim 13.0    
Camargo Correa Group 13.0    
V/Cグループ合計 25.97 0  
ウジミナス社年金基金 10.13 6.75 6.75
Ternium Group   27.66 37.86
協定株主計 63.86 63.86  

         


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