Johnson & Johnson (J&J) は10月22日、エボラ出血熱のワクチンの効果や安全性を確認するための
臨床試験を2015年1月から始めると発表した。
人体への安全性と効果を確認できれば、欧州拠点で量産を始める。
J&Jはワクチンの開発と量産体制を確立するために最大で2億ドルを投じる。
National Institutes of Health (NIH) と協力して行うワクチン投与計画では、子会社のJanssen Pharmaceutical Companiesの部門である Crucell Holland B.V.のワクチンAdVac®と、デンマークに拠点を置くバイオ企業のBavarian NordicのワクチンMVA-BN®を組み合わせる。
この組み合わせはサルヘの実験では、2回の接種で現在流行している種類のエボラ出血熱ウイルスヘの感染を予防する効果が確認されており、来年1月から欧州、米国、アフリカの健康なボランティアを使って安全性と免疫原性のテストを行う。
Janssenでは2015年中に100万回分の生産を行う計画で、このうち5月までに臨床テスト用に25万回分を生産する。
Johnson & Johnson では、ワクチンの臨床テスト、開発、生産、配分について、WHO、アメリカ国立衛生研究所(NIAID)、各国の政府や保健機構と密接な連絡をとっている。
ーーー
GlaxoSmithKlineは10月18日、同社のエボラワクチンの状況を発表した。ワクチン候補の開発はかってない早さで進んでおり、フェース1の安全性チェックは米国、英国、マリで進行中で年末には結果が出る。うまくいけば、更なるテストが2015年早々に始まり、シエラレオネ、ギニア、リベリアの3国で数千人の医療関係者に接種を行う。
GlaxoSmithKlineのワクチン候補は、2013年5月に買収したスイスのバイオ企業のOkairosが開発したもので、買収後、アメリカ国立衛生研究所と協力して開発を進めている。
GlaxoSmithKlineは2013年5月に、予防接種事業の拡大のため250百万ユーロでスイスのバイオ企業Okairos AGを買収した。
元の持ち主は、BioMedInvest、Boehringer Ingelheim Venture Fund、LSP、Novartis Venture Funds、Versant Ventures など。買収分には、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)、C型肝炎ウイルス、マラリア、結核、エボラ、HIVの初期段階の製品を含んでいる。
Okairosは遺伝子を組み込んだ不活性化アデノウイルスベクターを用いてT細胞による免疫活性化を図る予防・治療ワクチンを開発している。
GlaxoSmithKlineはインフルエンザ、肝炎、ロタウイルスなどを既に販売しており、マラリアの予防接種を開発中で、2013年のワクチン事業の売上は33億英ポンドとなっている。
ーーー
このワクチンはPublic Health Agency of Canadaが最初に開発したもので、NewLink Geneticsの100%子会社のBioProtection Systemsが独占実施権を得ている。
エボラウイルスに感染した動物のテストでは好結果を得ており、FDAは人間での臨床テストを承認した。
フェース1の安全試験実施に当たり、国防総省の国防脅威削減局(DTRA) と Walter Reed 陸軍研究所 (WRAIR)と協力している。
BioProtection Systemsは8月にDTRAから臨床試験に先立つ追加の毒性試験目的で100万ドルの資金提供を受けている。
ーーー
Tekmira Pharmaceuticals Corporationは10月21日、エボラ対策の状況を発表した。
同社はRNA干渉治療の主導的開発者だが、現在問題となっているエボラのギニア変種を対象とするワクチンのGMP製造を限定的に開始した。12月にも供給が開始される。
RNA干渉(RNAi:RNA interference)は、二本鎖RNAと相補的な塩基配列を持つmRNAが分解される現象で、この現象を利用して人工的に二本鎖RNAを導入することにより、任意の遺伝子の発現を抑制する手法。病気を起こす遺伝子を眠らせるもの。
西アフリカで流行するエボラウイルスの遺伝子配列が確定され、 'Ebola-Guinea' と呼ばれる変種のウイルスのRNA干渉治療が完成した。
同社は、WHO、疾病管理センター、国境なき医師団、国際重症急性呼吸器感染コンソーシアム (ISARIC) などとのコンソーシアムと協力している。
コメントする