Dow、非戦略事業の売却を拡大、KuwaitのPICとのJVの出資を減らす

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Dow Chemical は11月12日、これまで進めてきた非戦略事業の売却目標を70億ドル~85億ドルに増やすと発表した。2016年央までに実施する。

Dow Chemical はこれまで、2015年までに45億ドル~60億ドルの非戦略事業、資産の売却を計画していた。

10月2日の売却計画の進行状況発表時に、3事業の売却を進めているとしていたが、今回、この一つの子会社Angus Chemical Companyを12.15億ドルでGolden Gate Capital に売却すると発表した。

ANGUS はニトロアルカン関連製品専従の世界唯一の企業で、1936年に最初の特許申請をして以来、ニトロアルカン関連製品を開発、製造している。
現在、ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパンの4つのニトロアルカン製品を製造している。

残り2件は、水素化ほう素ナトリウム事業と、Dow AgroSciences部門に属する子会社のAgroFresh。

2014/10/6  Dow Chemical、非戦略事業の売却を進める 

今後も、株主価値を高めるため製品群の評価を続け、合弁会社についても出資比率の検討を行うとともに、事業戦略に合わない事業を売却するとしている。


この一環として、同社はKuwaitの
Petrochemical Industries Company (PIC) とのJVを再編し、出資比率を下げると発表した。2015年央にも完了させる。

対象となるのは、エチレングリコールのワールドリーダーである
MEGlobal と、Kuwaitの石化コンビナートのGreater EQUATEである。
 出資分のどれだけをどこに売るのかは明らかにしていない。


Dowは、売却により戦略的目的に資金を使えるとし、出資は減らすがJVには残留するため、低コスト製品を狙う戦略の一部であり続けるとしている。

1.MEGlobal

Dow Chemical PICは2004年にDowのMEG、PTA、PET事業をJV化した。ダウの "asset light" 戦略の適用第1号である。

両社は2つの50/50JVを設立した。

 (1) MEGlobal 

 MEG、DEGの製造販売で、ダウのカナダの2工場 (合計能力100万トン)を移管した。

Fort Saskatchewan EO/EG plant  340千トン
PrentissEO/EG plant  2基計     660千トン

他社製品の販売も行っており、現在は年間250万トンのEGを世界中で販売している。

 (2) Equipolymers (現在はMEGlobal の100%子会社となっている)

工場 PTA PET  
Schkopau, Germany   335千トン
 
No.1:160千トン
No.2:175千トン
Ottana, Italy (190千トン) (160千トン) 売却


イタリアの工場は2010年7
月、同地で発電所と用役工場を運営しているOttana Energia とタイのIndoramaのJVに売却した。

2.Greater EQUATE

1995年にダウ(当時のUCC)が45%、PICが45%出資のJV、Equate Petrochemical Company を設立した。
その後、出資比率は若
干変更されている。(下記参照)

立地はKuwaitのShuaiba Industrial Areaで、当初の製品及び能力は下記の通り。

エチレン 65万トン   
LL/HDPE 45万トン  
EG 30万トン  
PP 10 万トン  PIC単独の事業、但しEquateが操業を受託
     

その後、両社は第2期計画Equate IIを実施した。これは3つの会社に分かれる。

社名 出資 製品
Kuwait Olefins Company Equateと同じ エチレン、PE、EG
Kuwait Aromatics Company PIC 80%
Qurain Petrochemicals 20%
ベンゼン、パラキシレン
The Kuwaiti Styrene Company Dow 42.5%
Kuwait Aromatics Company 57.5
%
EB、SM

実際にはEquate Petrochemical が全体を一体として運営している。

各社の出資関係と製品は下記の通り。

以上の通り、Dowが出資しているのは、Equate Petrochemical Company (42.5%)Kuwait Olefins (42.5%)、Kuwaiti Styrene(42.5%)である。

ーーー

DowとPetrochemical Industries Company (PIC) の間には大きな抗争があった。

Dowは2007年12月13日、Kuwait国営石化会社 PIC との間で50/50のグローバルな石化JV K-Dow Petrochemical を設立すると発表した。

DowのPE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンなどの事業を移管するもので、Dowは事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっていた。

しかし、2009年1月1日のスタートを目前にして、2008年12月28日、クウェートの最高石油評議会がK-Dow Petrochemicals 設立承認を取り消し、破談となった。

この問題は最終的に仲裁裁判所はPIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。

2012/5/25     Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得

今回の判断はこれとは直接関係はないと思われる。

Dowとしては、国内のシェールを利用した石化事業を中心としつつも、中東の安価な原料による事業も捨てていない。

Dowは今後、Saudi AramcoとのJVのSadara Chemical Companyに全力投球すると思われる。

2011/7/26  DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定



なお、同社は11月12日、第4四半期の増配を発表した。



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