LG Chemは11月19日、Siemensとの間でエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage Systems) 事業の協力のためのMOUを締結した。
ESS事業で、Siemensはコンバーターとコントローラーを供給し、プロジェクトの計画と実行を担当、LG
Chemは電池と電池管理システムを提供する。
来年から50MW規模のESS構築事業も共同で推進する。
両社は2012年から合計3MW程度のリチウムイオン電池ベースのESS事業を進めているが、これを戦略的提携に広げる。
Siemensは例えば、ドイツのエネルギー会社VEOの停電時のバックアップ用ガスタービンのBlack start (外部から動力を受けないで起動)のために "Siestorage" バッテリーを供給している。
これにはLG Chemのリチウムイオン電池が使われている。
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Daimlerは11月18日、100%子会社のLi-Tec Battery GmbH
が12月にリチウムイオン電池の製造を停止すると発表した。
これは電気自動車用に電池を製造するドイツ唯一の工場で、2012年から生産している。
「自社の電池の品質はよいが、コストが高過ぎる。自動車メーカーが自分で電池を製造する必要がないと分かった」としている。
Renault 日産グループもこの方向で動いている。
Renault 日産グループには、バッテリーを製造するAESC(日産自動車 51%、日本電気 42%、NECエナジーデバイス 7%のJV)があり、Renault と日産自動車は当初、AESCの技術をベースにしたEV用電池工場を、2012年半ばまでにRenault のフラン工場に建設する計画を発表していたが、この計画は延期された。
Renault が2012年末に発売した小型電気自動車Zoe にLG Chem製の電池が採用された。
Renault は2014年5月、Renault とLG Chemが次世代のゼロエミッションの自動車用のバッテリーを共同開発する契約に調印したと発表した。
DaimlerはLi-Tecでリチウムイオン電池を製造するほか、もう一つの100%子会社 Deutsche ACCUmotive
でバッテリーパックを製造している。
ACCUmotiveはスマートEDや他のDaimlerのプラグイン用にパックの製造能力を拡大する。
Li-Tecの従業員はここに移す。
バッテリーパックにはLG Chem のリチウムイオン電池を入れる。
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Li-Tec は当初は Evonik の100%子会社であった。
Li-Tec のリチウムイオン電池は、EvonikのSEPARION 高機能セパレーターとLITARION 電極を使用している。
2008年12月にDaimler と Evonik
は自動車用リチウムイオン電池で戦略的提携を行った。
・Evonik 子会社のLi-Tecを両社のJV(Evonik 50.1%、Daimler 49.9%)とする。
・Deutsche ACCUmotive の設立(Daimler 90%、Evonik 10%)
2014年4月、両社はこの分野での提携を再編し、Daimlerが両JVのEvonik持株を全て買収し、両社を100%子会社とした。
取引条件を全く明らかにしていないが、もしかすると、この時点でLi-Tec の生産停止を折り込んでいたのかもしれない。
Evonikは離脱理由として、スペシャルティケミカルに重点を置く戦略に沿い、リチウムイオン電池事業の再検討を行っていたとしている。
なお、EbonikはSEPARION 高機能セパレーターとLITARION 電極はEvonikが引き続き扱っている。
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