トクヤマ、新第一塩ビ 千葉工場を停止

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トクヤマは10月31日、塩化ビニル事業の抜本的な収益構造の改革を行うため、2015年9月末を目処にグループ会社の新第一塩ビの千葉工場の生産を停止すると発表した。

競争力のある徳山工場へ生産を集約することによる製造出荷体制の再構築を実施する。

千葉工場(汎用塩ビ 年産80,000トン)の生産停止に伴い、新第一塩ビの生産体制は、汎用塩ビ生産の徳山工場(145,000トン)、ペースト塩ビ生産の愛媛工場(30,000トン)、合計 175,000トンとなる。

新第一塩ビの業績は下記の通り。(決算公告から)

 


1994年12月に共販会社の第一塩ビ販売に属する日本ゼオン、住友化学、サン・アロー化学(及び親会社 徳山曹達)は3社の塩ビ事業を統合することを発表した。第一塩ビ販売の他の1社、呉羽化学は新会社への不参加を発表した。

1995年7月に新第一塩ビがスタートした。

出資比率: 日本ゼオン 40%、住友化学 30%、サン・アロ- 20%、トクヤマ 10%

工場:
  汎用品:ゼオン(水島 120)、住化(千葉 35)、サン・アロー(徳山 125)、第一塩ビ製造(千葉 60)、
       合計340千トン
  ペースト・特殊品:ゼオン(高岡 65)、住化(愛媛 25)、合計 90千トン
  総合計 430千トン

共販会社の第一塩ビ販売は、相互に技術を開示するとともに、次世代製法(内部ジャケット方式)の共同研究を行ったが、その成果を利用し、共同で大型設備を建設することを決め、1990年7月に第一塩ビ製造を設立し、住友化学の千葉工場内に80千トンの設備を建設した。
なお、新第一塩ビは1995年にインドネシアのSiam Maspion (その後 TPC Indo Plastic & Chemicals)にこの技術を供与している。
 

新第一塩ビ設立後は、このうち60千トンを新第一塩ビが、残り20千トンを呉羽化学が引き取ったが、1998年に呉羽が撤退、新第一塩ビが吸収合併した。

新第一塩ビは業績悪化を受け、1999年に改組した。

日本ゼオン、住友化学は各14.5%の出資として実質的に撤退し、クロルアルカリ~VCMをコア事業の一つとするトクヤマ(1999年にサン・アローを吸収)が71%を出資し、新第一塩ビの運営に責任をもつこととなった。

老朽化の進んでいた水島工場を停止した。
日本ゼオンは合わせて水島の山陽モノマー(
日本ゼオン 55%、旭化成 25%、チッソ 20%)のVCM工場(230千トン)も停止した。

住友化学は既に1998年に千葉塩ビモノマー(住化42%、電気化学 33%、旭硝子 25%)のVCM 230千トンを停止している。(千葉電解、千葉EDCも)

現在は千葉工場
のVCMは、トクヤマと旭硝子の提携の一環として、千葉の京葉モノマーから供給を受けている。
住友化学は千葉塩ビモノマーの停止以降、VCM原料のエチレンは供給していない。

現在は、日本ゼオンはなんら関与しておらず、住友化学も千葉と愛媛の工場内にある新第一塩ビのプラントの生産を受託しているだけである。

 

工場の変遷は下記の通り。

  当初
(千トン)
  現状
(千トン)
  2015/10~
(千トン)
汎用 水島(ゼオン) 120 2000/3 停止  
千葉(住化) 35 下記を受け、1998年 停止  
千葉(第一塩ビ製造) 60/80 1998年 呉羽枠買収、吸収合併 80 2015/9 停止
徳山(サン・アロー) 125 増強 145   145
ペースト 高岡(ゼオン) 65 2008/3 停止  
愛媛(住化) 25 手直し増強、特殊品停止 30   30
合計 430   255   175



 

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