インドの国営ガス公社 GAILは11月13日、 トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタンの国営ガス会社と共同で、トルクメニスタンからインドまでの1800kmの天然ガスパイプラインを建設・運営する会社 TAPI Pipeline Company Limited を設立したと発表した。
4カ国の頭文字をとった TAPI Pipeline Companyは英王室属領のマン島で特別目的事業体(Special
Purpose Vehicle)として設立された。
トルクメニスタンのTurkmengas、アフガニスタンのAfghan
Gas Enterprise、パキスタンのInter State Gas Systems (Private) Limited とインドのGAIL
が均等出資する。
インド側ではIndian Oil Corp が参加を希望し、GAILとの折半出資を求めている。
当初はバングラデシュも参加の意向であったが、距離が遠いことから経済性がないとして断った。
しかし最近は今後のガス供給不足予想から、参加を検討しているとされる。
TAPI pipeline はトルクメニスタンの南東部の Galkynysh (旧称Yolotan Osman )ガス田の年間330億m3(日量90百万m3)の天然ガスを30年間にわたり、トルクメニスタンからアフガニスタン、パキスタン、インドに輸出する。
Galkynyshガス田は、埋蔵量が13.1~21.2兆m3あるといわれ、イランのサウスパース・ガス田/カタール・ノースフィールド・ガス田の合計51兆m3に次ぎ、世界第2位である。
第1ガス処理設備は中国のCNPCが建設を請け負うとともに、生産量全量(年間100億m3)を購入し、中国に輸送する。
中国では「復活」ガス田と称している。
2013年9月に習近平主席が竣工・生産開始式典に参列した。韓国の現代エンジニアリングとLG International も2013年10月にガス処理設備を完成させている。
パキスタンとの国境のインドのFazilka でインド国内のパイプラインに接続する。
インドとパキスタンが日量各38百万m3、アフガニスタンが14百万m3を購入する。当面はアフガニスタンの引取は1.5~4百万m3で、残りはインドとパキスタンが均等に引き取る。
トルクメニスタンは天然ガスの確認埋蔵量世界4位で、輸出市場を南東部に拡大する。輸入3国にとっては燃料の新しいソースとなる。
当初はTAPパイプライン計画(Turkmenistan-Afghanistan-Pakistan Pipeline)と称されていたが、インド政府が2006年5月に正式に参加することを閣議決定、それ以降はTAPIと改称した。
パキスタンとインドは国境問題で争っており、紛争国の間を通るこのパイプラインは 'Peace Pipeline' とも呼ばれる。
アジア開発銀行が当初からバックアップしており、2013年11月にTransaction
advisorに指名されている。
アジア開銀はこの計画の技術のFeasibility Study のため、英国のエンジニアリング会社 Penspen を選んだ。
6ヶ月かけて、ルートのレビュー、コンプレッサーステーションの場所と大きさ、コスト予想、開発戦略とスケデュール作成などを行う。
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インドには他に、イランからパキスタン経由で天然ガスを輸入する IPI (Iran-Pakistan-India) Pipeline 計画があるが、パキスタン側の工事が全く進んでいない。
米国はIPI計画には反対しており、代替案としてのTAPI を支持している。
2013/3/16 イランーパキスタン 天然ガスパイプライン起工式
このほか、今回ロシアから中国への第二のパイプラインとして建設されるAltai
Pipelineを拡張して、ロシアからインドへガスを送るパイプライン建設の交渉も行われているとされる。
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