韓国の鉄鋼大手 POSCOは12月19日、二次電池素材のリチウムを抽出する新技術「リチウム直接抽出技術」の実証プラントの完工式をアルゼンチン北部のJujuy州Cauchari 塩湖周辺で行い、技術検証を開始した。
プラントは年産200トン規模で、今後1年間にわたり最終的な技術検証を行った上で、2016年から商業生産に入る予定。
POSCOは2014年1月、カナダのリチウム会社Lithium Americas Corp. とCooperation Agreementを締結、Lithium Americas のCauchari-Olaroz lithium projectに実証プラントを建設することとした。
POSCOは技術開発とパイロットプラントの管理運営を行う。Lithium Americaはローカルサポートと塩水の供給を行う。
契約はパイロットプラントに限定されるが、将来商業生産を行う際には一定の独占交渉期間が与えられる。
リチウム直接抽出技術は、POSCOが同社傘下の浦項産業科学研究院(RIST)と共同で開発した独自技術で、世界で初めて塩水に化学反応を起こしてリチウムを直接抽出することに開発した。
現在のやり方は塩水を自然蒸発させる方式で、抽出には12~18ヵ月かかる。
また、塩水に含有されたマグネシウムなどが不純物状態で残るため、再精製しなければならない。
新技術は抽出時間を大幅に短縮させ、最短8時間、長くても
1ヵ月内に化学反応を通じてリチウムを抽出することができる。
リチウムの回収率もこれまでの50%から80%以上に引き上げることが可能になった。
生産される炭酸リチウムの純度は99.9%以上とされる。
2012年にはボリビアのウユニ塩湖の塩水を使用してリチウムを抽出した。
2013年にはチリのCopiapoから160km北東のMaricunga 鹽湖に 能力20トンのパイロットプラントを設置した。
本年6月にはアルゼンチンのJujuy州に年産200t規模の実証プラント
の建設を開始した。
リチウム以外にも塩水に溶けているマグネシウム、カルシウム、カリウム、ホウ素などの元素を分離抽出し、資源化することができるとしている。
新技術に関連し、国内外で約30件の特許を申請している。
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