BASFは12月18日、「現在の厳しい政治情勢を踏まえ」、年内に予定していたGazpromとのガス資産の交換計画を断念すると発表した。
ロシアと西側諸国の間で緊張が高まったことが背景にある。
譲渡するのは、
1)BASF子会社Wintershall とGazpromの50/50JVの天然ガスのトレーディングと貯蔵会社、WINGASとWIEH
のWintershall 持分
両社はGazprom 100%となり、WIEWIEHの100%子会社のWIEE もその結果、Gazprom に移る。
WINGASとベルリンに本社を持つWIEH(Wintershall Erdgas Handelshaus) はドイツのみならず、ベルギー、フランス、英国、オーストリア、オランダ、チェコなどに天然ガスを供給している。
WIEWIEHの100%子会社のWIEE (Wintershall Erdgas Handelshaus Zug) はスイスに本拠を置き、ルーマニアとブルガリアを中心に天然ガスを供給している。
2) 北海で石油の開発を行っているWintershallの子会社WINZ(Wintershall
Noordzee)の50%持分
代わりに譲り受けるのは、北極圏北海のUrengoyskoye 石油・ガス田のAchimov depositsの4A and 5Aブロックの開発権の25.01%。
Urengoyskoye 石油・ガス田は1966年発見で、北極圏のガス田で最大のもの。
今回取得する2鉱区は24億バレルの埋蔵量が見込まれ、2016年に生産が始まる予定であった。Wintershall は長年、Gazpromと共同でシベリアのガス田を開発している。
交換中止により、WINGASとWIEH はWintershall とGazpromの50/50JVのままとなり、WINZはBASFグループの100%子会社のままとなる。
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BASF子会社のWintershallは、ロシアの欧州向けの天然ガスパイプライン、Nord Stream計画に参加している。
2005年9月、Gazpromとドイツの電力会社E.On、及びWintershallの3社が契約文書に調印した。
現在の出資比率は、Gazprom 51%、Eon 15.5%、Wintershall 15.5%、Gasunie 9%、 GDF SUEZ 9%となっている。
WintershallはSouth Stream 天然ガスパイプライン計画にも参加している。
2011/3/30 BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加
2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め
付記
2014年12月29日、WintershallはSouth Stream
Transport の持株15%をGazpromに売却した。
この結果、出資は
Gazprom 65%、フランスのElectricite
de France SA 15%、ENI 20%となった。
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