米製薬大手Merckは12月8日、抗生物質を手掛ける米 Cubist
Pharmaceuticals, Inc. を買収する契約を締結したと発表した。
買収額は84億ドル(最近の株価に35%のプレミアムを付した額)だが、11億ドルの債務があるため、実質的に95億ドルでの買収となる。
Merckは病院向けの救急医療を4つの主力事業の1つと位置づけて抗生物質の品ぞろえ強化を進めており、Cubist の買収で2015年の売上高を10億ドル以上押し上げるとしている。
残りの3つは、糖尿病、ワクチン、癌治療薬。
しかし、その翌日の12月9日、米地裁がCubist の主力医薬品の特許無効の判決を下した。
これに対しMerckは買収の方針に変更はないとしている。
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Cubistは複数の薬に耐性を持つ細菌に効く新タイプの抗生物質の開発に力を入れている。
主力製品は2003年発売の
CUBICIN®で、黄色ブドウ球菌性菌血症(S.
aureus bacteremia)や複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI) の治療薬として唯一認められており、これまで200万人以上の患者に使われている。がん患者の発熱を伴う好中球減少症(白血球の一種である好中球の数が異常に減少)の治療薬としても研究されている。
CUBICINはCubist の売上高の80%を占める。
開発中の複雑性尿路感染症の治療薬 ZERBAXA™ は、FDAの優先審査に指定され、今月中にも承認が見込まれており、Merckでは大いに期待している。
Cubistは薬物耐性菌の治療薬として4つの新薬を2020年までに投入する方針。
耐性菌の脅威が高まっているため公衆衛生当局は企業に新しい抗生物質への投資を促している。
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