富士フイルムグループは12月10日、同社子会社の富山化学がエボラ出血熱の治療薬として開発し、世界的に注目されている「アビガン(一般名ファビピラビル)」について、中国医薬品大手「四環医薬」が模造薬を製造している可能性があると明らかにした。
在日中国大使館に調査を求めるなど事実の究明を進めており、特許侵害が確認されれば提訴も視野に入れる。
本年9月にスイスで開かれたWHOの専門家会合で、中国の出席者から四環の薬がエボラ熱薬の候補として提案された。
WHOの担当者が「アビガンと成分が同じだ」と指摘し、富士は事態を把握したという。
富士フイルムは2004年から2013年にかけて、中国でアビガンの関連特許を取得している。
中国の医薬品大手「四環医薬」(Sihuan Pharmaceutical Holdings Group)は中国で3番目に大きい処方箋薬メーカーと自称しているが、元々は中国軍の研究機関であった。2001年にスピンオフし、現在の形となった。Morgan Stanleyが出資している。
心血管薬や脳循環改善薬に注力しており、2010年には心臓・脳血管疾患治療薬を製造するDupromise Holdings を買収している。
同社は、中国人民解放軍の最高医学研究機関であるAcademy of Military Medical Sciences (AMMS=軍事医学科学院)とタイアップ契約を締結し、AMMSが開発し緊急軍事用のみに承認を得ているエボラ治療薬 JK-05 の中国での承認取得、販売で協力することとした。
JK-05はAMMSが5年間、研究、開発してきたもので、富士のfavipiravirと似ていると言われていた。
四環医薬は10月にJK-05をアフリカに送った。エボラ対策支援に従事する中国人を対象にテストする。
アフリカには数百万人の中国人が住んでおり、エボラの蔓延するシエラレオネ、ギニア、リベリアなどに約1万人が住んでいる。
朝日新聞によると、同社は「薬はまだ実験室での研究段階のため、いかなる権利の侵害も発生していない」としている。
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