12月12日のWTI原油先物価格の終値は57.81ドル/バレルとなり、2009年5月以来の低水準となった。
最近の高値の2014年6月20日の107.26ドルからは46%の下落である。
国際エネルギー機関(IEA)は11月の石油市場月報では、2015年の世界の石油需要が2014年から日量113万バレル増えると予想していたが、12月12日発表の12月の月報では、これを23万バレル引き下げ、90万バレル増とした。中国や欧州の景気減速で需給が緩む状態が続くと分析している。
米エネルギー情報局(EIA)は、2015年の原油価格の予想を11月時点ではバレル当たり77.75ドルと予想していたが、OPECの生産目標据置き決定を受け、12月9日に15ドル下方修正し、平均62.75ドルと予想した。
来年については、「米国の原油生産の伸びが鈍化しそうだが、それでも年間の生産量は1972年以来の高水準に増加すると見込まれる」としている。
Morgan Stanley はOPECが生産減に踏み切らなければ、2015年の第2四半期には43ドルまで下落するだろうと警告している。
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ConocoPhillipsは12月8日、2015年の投資額を135億ドルとし、2014年見込みに比べ20%減らす方針を発表した。同社は2014~17年まで年平均で160億ドルを投資する計画だった。
2015年は資源掘削にかける費用を50億ドルとし、14年比で20%強減らす。シェール開発も選別し、テキサス州 Eagle Ford など投資効率の高い案件を継続するが、リスクの高い案件は見送る。
BPは12月10日の投資家向け会合で、
探査や開発、生産を担う上流部門と、製油など下流部門の双方にわたる全社的な業務簡素化を進めることを明らかにした。
2015年末までにリストラ関連で約10億ドル規模の引当金を計上する。
最近の原油安については、すべての事業が石油価格の影響を同じように受けるわけではないとしている。
上流部門の3分の1は生産分与契約によるものであり、また石油価格の動向を受けにくい良質なガス田にも投資していると指摘した。
BPは、1バレル=80ドルの想定で事業を承認しているが、価格変動に対する耐性を調べるため、60ドルの水準でも収益性を試算しているとしている。
1995年設立の独立系石油・ガス業者でEagle Ford Shale
やHaynesville Shaleなどで活動するGoodrich
Petroleumは12月10日、2015年の投資額を本年の325~375百万ドルから大幅に減らし、150~200百万ドルにすると発表した。
合わせてEagle Ford のシェール資産の一部又は全てを来年上半期に売却することを検討するとしている。
Williston Basin (Bakkenシェール層)で活動するOasis Petroleum も同日、2015年の計画を明らかにしたが、投資額は$750~850 百万ドルとしている。2014年の投資額は1,430百万ドルと見込んでいる。
Wood
Mackenzieの試算では、米国のシェールオイルの損益分岐点は下記の通りである。現在の原油価格(60ドル)ではほとんどが赤字となる。
http://www.businessinsider.com/shale-basin-breakeven-prices-2014-10
Morgan
Stanleyでは損益分岐点の平均はバレル当たり76~77ドルで、現在の価格水準が続けば投資は減るとみている。
一度掘れば長期間にわたって石油が採掘できるこれまでの油田と異なり、シェールガス・オイルの場合、掘削して2年で生産量は激減する。
このため、新しい井戸を次から次に掘り続けなければならない。
殆どの業者は借入金で井戸を掘るため、原油価格下落で借り入れが困難になると、生産停止に追い込まれることとなる。
http://www.businessinsider.com/fracking-shale-extraction-and-depletion-2013-3?op=1
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