Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場

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Samsung Group の持株会社 第一毛織(Cheil Industries Inc.) が12月18日に上場する。
Samsung
カード、Samsung SDIなどが保有する株式を売却するとともに、新株を発行する。
上場後の時価総額は10兆ウォン(約1兆円)前後に達すると見られている。

11月14日には Samsung Groupのシステムインテグレーション関連企業である Samsung SDSが上場している。

上場は創業家の事業継承の一環で、「李在鎔・電子副会長らは上場で得た資金を、病床にある父親の李健熙・電子会長の資産を引き継ぐ際の相続税か、系列会社の株式の買い増しに使うのではないか」と見られている。

李健熙会長は、三星生命の20.76%、三星電子の20.76%を保有しており、李在鎔副会長がこれを相続すれば、相続税は約7兆ウォン(約7千億円)とされる。

第一毛織は旧称 三星エバーランドで、レジャー関連事業(ソウル南方の龍仁市にあるテーマパーク、三星エバーランドを運営)、トータルファッション、テキスタイル、ケミカル、電子材料などの事業を行うが、事実上のサムスングループの持ち株会社としての性格も持つ。

2013年9月に旧 第一毛織からファッション事業部を買収した。

李一族が45.56%を保有する。

なお、Samsung SDSについても、李在鎔副会長が11.25%、二人の妹が各 3.9%を保有する。
Samsung Electronicsが22.58%、Samsung C&T(総合商社)が17.08%を保有している。

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三星エバーランドは1963年に東火不動産として創業、1967年に中央開発と改称、1997年に三星エバーランドとなった。
2014年7月、社名を第一毛織(Cheil Industries Inc.) に改称した。

第一毛織は1954年に創業者の故 李秉喆が設立したもので、第一製糖とともにSamsung Groupの最初の製造業の一つ。
織物事業から始まり、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業(PS、ABS等)、2000年代には電子材料事業へと進出してきた。

2013年にファッション部門を三星エバーランドに譲渡し、2014年7月1日Samsung SDI と合併した。

Samsung SDIは1970年にブラウン管事業からスタートし、2002年に新規事業としてバッテリー事業を加え、2010年には小型バッテリー市場でトップに立った。
合併により、Samsung SDIは第一毛織が持つバッテリー寿命などを向上させる二次電池セパレータ技術と有機素材技術を取り込むことでバッテリー事業の競争力を強化できる。
また、第一毛織の合成樹脂事業をこれまでの電子、IT中心から自動車向けへと拡大することができる。

三星エバーランドは上記合併により無くなることとなるグループ創業事業の「第一毛織」の名称を引き継いだ。

「三星の母胎格である第一毛織を通じて三星の哲学と正統性を継続するという意味で第一毛織を新しい会社名に決めた」と説明した。

なお、テーマパークはエバーランド名を継続、海外法人はSamsungというブランドの認知度を考慮して、Samsung Cheil とする。

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会長の長男の李在鎔・電子副会長が三星エバーランドの25.1%を取得した件は刑事事件に発展した。

2008年4月17日、特別検察官チームは李健熙・三星グループ会長を背任と脱税など3つの容疑で起訴するなど、前・現職の三星幹部10人を書類送検した。

第一の容疑 経営権継承疑惑

李健熙会長が長男の李在鎔に経営権を継承する過程で、三星エバーランドの転換社債の97%を長男に配分し、不当に安い価格で引渡し、エバーランド側に少なくとも969億ウォンの損害を与えたというもの。これにより、李在鎔はエバーランドの25.1%を所有し筆頭株主となった。
李健煕会長と副会長ほかに特定経済犯罪加重処罰法上の
背任が適用された。

第二の容疑  裏資金疑惑

李会長ほかが、三星生命の2兆3000億ウォンを含め、4兆5000億ウォンの資金を隠し、 1,199の借名口座を利用して、系列会社の株を売買して得た差益5,643億ウォンに対する譲渡所得税1,128億ウォンを脱税した容疑で特定犯罪加重処罰法上の脱税が適用された。

第三の容疑  不法ロビー疑惑

政官界および法曹界を対象にした疑惑については、金勇澈弁護士の供述に信憑性がないか、または嫌疑が発見できなかったなどの理由で、内部捜査を終結させた。
また、三星の債券が2002年の大統領選挙資金や最高権力層に提供され
たという疑惑を立証する証拠も発見できず、三星重工業などの粉飾会計疑惑も嫌疑をつかめずに終結させた。

ソウル中央地裁は7月16日、李健煕 前三星会長に対し、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約110億円)を言い渡した。

エバーランド転換社債発行と三星SDS新株引受権付社債発行に関する容疑については無罪を認めたが、脱税容疑の一部と証券取引法違反容疑については有罪と判断した。

2009年5月29日、韓国の最高裁判所は李健煕・前三星グループ会長が長男の李在鎔サムスン電子専務に、グループの事実上の持株会社のエバーランド転換社債を安値で発行し会社に損害をもたらした背任容疑に対し、無罪を宣告した原審を確定した。

2009年12月29日、韓国政府は執行猶予付きの刑が確定している李健熙前会長を31日付けで特別赦免すると発表した。

李健煕会長は起訴を受け、2008年4月22日に退陣を発表したが、2010年3月24日、グループ社長団会議の要請を受け、サムスン電子の会長に復帰した。

2008/4/26 揺れる韓国サムスングループ

また、グループ各社の株式を巡っては、グループの創業者、故李秉喆の長男の李孟熙と、次女の李淑姫が、弟の李健熙・三星電子会長を相手取り、株式の分与を求める訴訟を起こしている。

2012/2/25 サムスン創業者の遺産相続で訴訟

 


 

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