英下院のEnvironment Audit Committeeは1月26日、フラッキング(水圧破砕法)によるシェールガス採掘の中止を提言する報告書を発表した。
概要は以下の通り。
政府はフラッキングを推進しており、税務上の恩典を与え、規制緩和法案(Infrastructure Bill)で住民の許可なしに地下の掘削を自由に認めようとしている。
フラッキングによるガス生産は気候変動法(Climate Change Act)での英国の義務と矛盾する。
シェールガスは低炭素ではない。政府の目的はソースに関係なく、エネルギーの二酸化炭素濃度を下げるということだ。規則で環境への影響は守られるというが、地下水の水質、水の供給、廃棄物、国民の健康、生物多様性、地質、騒音等々の危険について、広範囲な不確実性がある。
フラッキングがまだテスト段階であるためだ。取り返しのつかないダメージから環境を守る必要がある。フラッキングは保護地域、国にとって重要な地域で直ちに禁止すべきだ。
メタンを全く放出しないことを義務付けるべきだ。
全ての水源地域でフラッキングを禁止すべきだ。
委員長は以下の通り述べた。
フラッキングは、フルスケールの二酸化炭素の回収・貯蔵なしには、長期的な温室ガス排出量の削減目標と合致しない。
また、フラッキングが水の供給、大気質、住民の健康に与える影響には大きな不確実性がある。英国の国立公園や素晴らしい自然の美が油田やガス田に変わるのを許せない。
国としてのシェール禁止が無理な場合、そのような場所では禁止すべきだ。政府は住民の許可なしに家屋の地下で掘削することを認める法律を通そうとしている。これは極めて非民主的であり、議会はこれを認めず、住民の権利を守るべきだ。
政府は昨年に地下掘削権に関する規制緩和法案(Infrastructure Bill)を提出した。
現在、下院で審議中のこの法案は、シェールガスなどの地下採掘を一定範囲内で自動的に許可する内容で、企業は土地所有者の許可を得ずに地下でのフラッキングが可能になる。
同委の議員8人はこの日、この法案の修正案を議会に提出した。
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David Cameron 首相はフラッキング禁止要求を拒否した。
エネルギー安全保障上も、価格引下げのためにも必要であるとし、米国のシェールガス革命を英国でも実現すると述べた。
エネルギー・気候変動省は、「シェールガス開発は温暖化ガス削減目標と合致する」と反論。シェールガスは発電量の不安定な再生可能エネルギーを補完できる可能性もあるとした上で、「目標達成には再生可能エネルギー、原子力、ガスを取り混ぜたエネルギー構成が必要」としている。
英政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を80%減らす目標を掲げる。
Ineosは同日、反論を発表した。
報告は一方的で、フラッキングの利益よりも、潜在的なリスクに焦点を当てている。
米国では100万以上の井戸が掘削され、製造ルネッサンスが起こり、米国に雇用と繁栄をもたらしている。
英国でも安全にフラッキングが出来ると信じており、国全体に利益をもたらす。
同社は英国でシェールガス開発を計画している。
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