Solvay は1月5日、Chevron Phillips Chemical CompanyからのPPS事業買収を完了した。
2014年9月4日に買収契約を締結したもので、Chevron Phillips のRyton® polyphenylene sulfide (PPS) 事業を220百万ドルで買収した。
取引の一部として、Solvay は下記のプラントを手に入れる。
テキサス州 Borger のRyton® PPS resin 生産プラント(2系列、合計2万トン)
オクラホマ州 Bartlesville のパイロットプラントと研究所
ベルギー Kallo-Beveren のコンパウンド工場なお、テキサス州La Porte のコンパウンド工場は売却対象外だが、需要家のスムースな引継ぎのため、一定期間受託製造を行う。
PPSは、1967年にPhillips Petroleum のEdmondsとHillがパラジクロルベンゼンと硫化ソーダから合成する方法を発明、1972年Phillips Petroleum が商標名"Ryton®"で最初に工業化した。
2000年7月にChevronとPhillips Chemical のオレフィン、ポリマー、芳香族部門を統合し(PPSを含む)、Chevron Phillips Chemical が設立された。
Chevron Phillips Chemical では、PPSの発明者としてこの事業に誇りを持つが、Chevron Phillips がPPS事業を単一事業として行うより、エンプラ事業を幅広く行う Solvay が行う方が、戦略的に適しているとしている。
Solvay Specialty Polymers は高機能性プラスチック の分野における世界的リーダーで、世界中のどのポリマーメーカーよりも高性能で豊富な製品群を提供していると自称している。
今回買収するPPSは、コスト、機械的強度、耐薬品性、熱安定性の組み合わせがユニークで、Solvay の既存の製品群を補完する。
不思議なことだが、Solvay は以前にPPSコンパウンドを扱っていたが、2011年9月30日にDICにPPSコンパウンド事業を譲受している。
2011/10/14 DIC、PPS事業を増強
今回、Chevron Phillipsから米国のPPS resin 生産プラントとベルギーのコンパウンドプラントを買収する。(米国では当面コンパウンドを生産委託)
2013年のChevron PhillipsのPPSの売上高は1億ユーロで、欧州の販売が46%、北米が22%、アジアその他が32%となっている。
世界のPPSの需要は64千トンで、自動車向けが30%を占める。
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日本では、大日本インキ化学(現 DIC)がPhillips
Petroleumからベース樹脂を輸入し、ガラス繊維補強材や充填剤を混練し成形用コンパウンドとして市場開発を進めた。
1984年11月のPhillips Petroleum
の基本特許の失効後、大日本インキを含む数社が相次いでPPS国産化プラントを稼働させた。
現在の世界のPPSの能力は下記の通りで、ほとんどが日本勢だが、中国のLumena Resources(旭光資源)が最大メーカーである。2014年に25千トンの増設を行った。
立地 | 現状 (トン) | ||||
Chevron Phillips Chemical | Borger, Texas |
20,000 |
2009年に倍増した。 | ||
DIC EP | 鹿島工場 | 19,000 | |||
千葉工場 | |||||
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東海工場 | 19,000 | |||
韓国・セマングム産業団地 | (8,600) | 2016/4稼動 | |||
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錦工場 | 10,000 | コンパウンドはポリプラスチックが担当 | ||
Wilmington, N.C | 15,000 | (JV of Ticona and Kureha ) | |||
東ソー | 四日市工場 | 2,700 | 当初
東ソー・サスティール (東ソー70%、保土ヶ谷化学30%) 1992/6 東ソー100%、1996吸収合併 |
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出光ライオンコンポジット (出光興産 50%、ライオン50%) |
千葉工場 | 10,000 | 2013/10/1 出光興産から移管 | ||
INITZ(帝人/SK Chemical) | 韓国・蔚山 | (12,000) | 2015年稼動 | ||
Lumena Resources(旭光資源) | 四川省成都 | 6,000 |
2010年SINO Polymerを買収 (当初、華東理工大學華昌聚合物有限公司) 2014年 25千トン増設 |
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四川省徳陽 | 49,000 |
2011/10/14 DIC、PPS事業を増強
中国の芒硝石メーカーのLumena
Resources(旭光資源)が2010年に買収したSINO Polymer は1981年に華東理工大學がHuachang
Polymer(華昌聚合物)の名で設立した企業で、PPSレジンからPPSコンパウンド、PPS繊維までを扱う世界最大のPPSメーカー。
能力はレジンが30千トン、コンパウンドが30千トン、PPS繊維が5千トンであったが、2014年にレジン25千トンの増設が完了し、6月に試運転を開始した。
レジンは、射出成形グレード、コーティンググレード、繊維グレードを持ち、各種のコンパウンドを扱う。
SINO Polymer は2012年にPolysulfone (PSU) の生産を開始した。
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