アステラス製薬は米国で、同社の免疫抑制薬プログラフの後発薬の発売を遅らせたとする集団訴訟の和解で98百万ドルを支払う。1月29日の連邦裁判所への届出書類で分かった。
1984年に前身の藤沢薬品工業が筑波山の土壌細菌(Streptomyces tsukubaensis)から分離した。
原告側は、アステラスがFDAに対して安全性や有効性の試験を求めるなど、いろいろな形で後発薬の販売を約2年遅らせたと主張、こうした行為で市場独占を維持したのは反トラスト法に違反し、その間、高価格の製品を買わされたとして、アステラスの米国子会社を相手取り、損害賠償を求めた。
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プログラフの米国特許は2008年4月に切れたが、これをにらんで Sandoz が2006年にジェネリックの製造・販売承認を求める申請をFDAに提出した。
これに対しアステラスは2007年9月に、ジェネリック薬の承認のために、より厳密な生物学的同等性(bioequivalence)のテストを求める市民請願(Citizen
Petition)を行った。
(市民請願とは、FDAに対して規則の発効、変更、または取り消しやその他のアクションを公式に要請するもの)
この請願は、FDAが根拠のない請願を無視することを認めた新法が発効する数日前に行われた。
原告側弁護士によると、新法の発効以前にはFDAはしばしば、これらの請願を分類処理するまでの間、ジェネリックの承認を遅らせたという。
FDAは2009年8月にこのアステラス側の市民請願を却下し、Sandozの申請を承認したが、アステラスは同日、Sandoz品の禁止を求める訴訟を行った。
アステラスはその理由として、臓器移植患者は製品のメーカー間のtacrolimusの濃度の少しの濃度にも影響を受け、副作用に結びつくと述べた。
しかし、これは却下され、Sandoz品は販売された。
2011年6月に、アステラスが2007年に出鱈目な市民請願を行ってジェネリックの販売を遅らせたのは独禁法違反とする集団訴訟が組成された。
アステラスの行為はジェネリック販売を2年間遅らせ、その間、アステラスは10億ドル以上の販売を独占したと批判した。
2012年2月に連邦裁判所はアステラスが提出した集団訴訟却下の申請を却下し、同年4月に集団訴訟を認定した。
本年1月から陪審による審理が始まる予定だった。
アステラスは1月29日、患者の利益を考えて行動したのであり、FDAのその後の行動や科学的調査は同社の市民請願が正しかったことを証明している が、裁判はカネがかかり、プロセスも確かでないため、同社としては問題をすぐ解決し、移植患者に高品質の製品を供給するという仕事を進めることとしたと述べた。
なお、原告側の弁護士は解決金98百万ドルの1/3 を受け取る。
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