中国、独禁法違反でQualcommに975 百万ドルの罰金

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中国の国家発展改革委員会(NRDC)は2月10日、米半導体大手のQualcomm60.88億人民元(975 百万ドル)の罰金支払いを命じた。中国の独禁法違反では、過去最大の制裁金となる。

NRDCは、主に下記の点を問題とし、「Qualcommの違法行為は悪質で長期にわたり、極めて重大だ。ただちにやめるよう命じた」としている。

(1)不公平な高額の特許使用料を徴収していた。
(2)正当な理由なく、モバイル通信で標準的に必要としない特許の使用料を抱き合わせで販売した。
(3)半導体チップの販売において不合理な条件を押しつけた。

中国の独禁法は違法企業には最高で前年度の売上高の10%の罰金としているが、今回の罰金は2013年の売上の8%に相当する。

中国の独禁法の担当は下記の通り。

国家発展改革委員会(NDRC) 価格独占行為の調査・処分
商務部 事業者集中行為
工商総局 独占協定、市場支配的地位の濫用、
行政権力を濫用した競争の排除、制限

Qualcommは中国当局の決定に従うとし、そのための対策の概要を発表した。9億7500万ドルの罰金に異議を申し立てない としている。

Qualcommは、中国で高いシェアを持つスマートフォン向けの通信技術を巡り、端末メーカーに不当に高い使用料を強いるなどの違反行為があったと認めた。

NRDCは、中興通訊(ZTE)や華為技術(Huawei)など中国メーカーから苦情が相次いだため「時間をかけて調査を続けてきた」としている。

Qualcommの対策は下記の通り。

中国国内で使用・販売する携帯電話端末について、これまでは卸売価格の100%にあたる特許使用料を徴収していたのを、今後は65%とする。
  中国で販売する製品に3Gと4Gの特許を使う場合、それぞれ5%、3.5%のロイヤリティとする。

・中国の特許の被許諾者に特許の使用を許諾する場合、特許のリストを提供し、特許権の存続期間を過ぎた特許については使用料を徴収しない。

Qualcomm が中国側からのクロスライセンスを求める場合、交換特許に妥当な評価を行う。

・モバイルの標準に必要な特許を許諾する場合に、正当な理由なくモバイル通信の標準に必要のない特許の許諾を抱き合わせで販売しない。

半導体チップを販売する時に、中国の被許諾者に不合理な条件を含む許諾合意に調印するよう求めない。
  特許の許諾をめぐって争わないとする合意への調印を中国の被許諾者に半導体チップを提供する際の条件としない。


QualcommのCEOは、事業めぐる不透明感が取り除かれたとし、これにより 中国のワイヤレス市場にフルに参加でき、同社の3G/4G 技術の採用が速まると述べた。


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中国では外資大手の大型摘発が続 いている。(1人民元は2012/9までは約12.5円、現在は約19円)

    罰金
2013年1月 LG電子、サムスン電子など韓国、台湾の液晶メーカー6社 353百万元
2014年8月 日本の自動車部品メーカー12社 1,235.4百万元
2014年9月 VolkswagenとChrysler VW    248.58百万元
Chrysler 31.68百万元
今回 Qaulcomm 6,088百万元


なお、湖南省長沙市中級人民法院(地裁)は2014年9月19日、GlaxoSmithKline に対し、賄賂や脱税で30億元の罰金を課している。
    2013/7/18   中国、GlaxoSmithKline を贈賄の疑いで捜査





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