Lanxessが合成ゴム事業(2014年売上高51億ドル)をJV化することを検討しており、持分の40%程度を売却する交渉を行っており、Saudi Aramcoが交渉相手に含まれていると本年2月初めに報じられた。
同社は2014年8月に3段階にわたる全社構造改革の実施を発表しているが、そのPhase 3
に当たるもの。
(構造改革のPhase 1 の人員削減は予定通り実施されている。)
合成ゴム市場の過剰能力とそれによる値下げ圧力に対応するため、安い石油・ガス関連原料を持つパートナーを探している。
インドのReliance やロシアのSibur などのような新興市場での低コストの競争相手に打ち勝ち、グローバルに事業を拡大することを狙っている。
候補の各社に対し、具体的なオファーを出すよう求めているとされる。
アナリストは事業価値を26.5億ユーロ程度と見ている。
Lanxessはその後、この報道を事実であると認めた。
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Lanxessは 3月19日の2014年決算発表時にPhase 2 の事業の競争力強化策の一つとして合成ゴム事業の合理化を発表した。
合成ゴムの過剰能力に対応するため、EPDM とネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)の能力を最適化する。
1)EPDM
同社のEPDMの歴史は下記の通り。
Lanxess(Bayerから分離独立)はドイツのMarlで年産6万トン、テキサス州のOrangeで6万トンの合計年産12万トンのEPDM(Buna® EP)を生産していた。
Lanxess は2010年12月、Royal
DSM からのDSM Elastomers部門の買収を発表した。買収額は310百万ユーロ。
オランダのGeleen
(16万トン)とブラジルのTriunfo(4万トン)を加え、能力は12万トンから32万トンに増えた。
2010/12/20 LANXESS、DSM Elastomersを買収
2011年9月、オランダのGeleen のEPDMの50%を最新のKeltan ACE技術に転換すると発表した。3系列のうち最大の系列を転換する。
2011/10/5 LANXESS、EPDM事業を強化
2012年9月、江蘇省常州市のChangzhou
Yangtze Riverside Industrial Parkに世界最大のEPDMプラントを建設すると発表した。
能力は年産16万トン、投資額は235百万ユーロで、2015年に生産開始する。
2012/9/10 Lanxess、中国江蘇省に世界最大のEPDMプラント建設
以上により、現在の能力は51万トンに達する。
今回、ドイツのMarl
のプラントを2015年末に停止することを決めた。
同社のEPDMプラントのうち、規模の点とエネルギーコストと原料コストが比較的高いことから、最も経済性で劣るためで、最新鋭の中国プラントで補完する。
2)ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)
Nd-PBR
はタイヤに使用される原料の一部で、他の多くのタイヤ用ゴムに比べ、より効率的な燃費をもたらし、タイヤ摩擦も低減する。自動車の安全性、環境保護、経済性の向上においてより重要な役割を果たす。
世界中で、燃費性能、ウェットグリップ性能、騒音などの新規制に対応できる「グリーンタイヤ」の原料ゴムのニーズが増大している。
Lanxessは2011年6月、新しいNd-PBRの立地をシンガポールに決めたと発表した。
2億ドルを投じて、ジュロン島に年産14万トンのプラントを建設する。2015年上半期の操業開始を目指す。
2011/6/6 Lanxess、シンガポールでポリブタジエンゴムを生産
この結果、同社はフランスとドイツ、米、ブラジル、シンガポールの5箇所にプラント持つこととなった。
今回、ドイツのDormagen とシンガポールをNd-PBR
の生産の本拠地とし、米国とブラジルのプラントはそれぞれの地域のみに供給する。
フランスのプラントと米国プラントの一部は将来、他のブタジエンゴムの生産に転用する。米国プラントは4系列のうち、3系列だけをブタジェンゴム生産に使う。
以上により、EPDMとNd-PBRについては、欧州、北米、南米、アジアに一つずつのプランを持つこととなる。
Phase 3
では合成ゴム事業で他社との協力を通じての競争力強化を狙っており、「現在、数社と交渉中で、本年下半期には報告できるだろう」としている。
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