上院は既に2月27日に可決しており、オバマ大統領が 3月4日に署名して成立した。
これで、本会計年度(2015年9月末まで)の予算案はすべて成立することとなる。
米上院本会議は2014年12月13日深夜、2015年9月までの大半の政府支出を賄う内容の総額1兆1000億ドルの包括的歳出法案を賛成56、反対40で可決した。
下院は12月11日夜に219対206の賛成多数で可決しており、オバマ大統領の署名を経て成立した。
しかし、オバマ大統領の移民制度改革(不法移民の大量受け入れ)の所管事項が多い国土安全保障省の予算については、2015年2月までとされた。
2014/12/18 米国、包括的歳出法案が可決するも、問題を残す
下院は1月に、何百万人もの不法移民の強制送還を免除するオバマ大統領の移民政策を阻止する条項を国土安保省予算案の一部に盛り込んだ。
しかし上院では、民主党が抵抗、フィリバスターを避けるための60票に満たないため、共和党はこの条項を通過させられなかった。
米議会の上下両院は2月27日夜、同日深夜に期限が切れる米国土安全保障省の暫定予算について、期間を1週間延長する法案を賛成多数で可決した。
共和党上院トップのマコネル院内総務は、国土安保省の一部閉鎖に至った場合、同党への批判が高まる事態を懸念し、移民制度改革を阻止する条項を切り離し、2015会計年度の予算を認める案を提案、27日午前の本会議で可決した。
共和党 民主党 無所属 合計 賛成 23 43 2 68 反対 31 31 棄権 1 1 合計 54 44 2 100
しかし、下院では移民制度改革に対する保守派の抵抗が強く、1週間延長にとどめた。
この結果、3月6日が新しい期限となった。
その後も共和党は移民制度改革案の破棄に向け圧力を強めたが、民主党は無条件で予算を通すよう、要求した。
下院議長(共和党)は、テロの脅威が高まる中、国境警備などを担う同省を一部閉鎖に追い込めば、世論の批判の矛先が自党に向かうとみて方針を転換、当日朝になって、移民制度改革案破棄の要求を下ろし、数日前に拒否したばかりの上院案に沿った内容をそのまま議決すると党員に伝えた。
しかし、共和党内部でこれに対する反発が強く、多くの党員が反対票を投じた。(米国には党議拘束の制度はない。)
共和党 民主党 合計 賛成 75 182 257 反対 167 167 棄権 3 6 9 欠席 2 2 合計 247 188 435
移民問題をめぐる戦いでは、下院共和党は、今後は裁判所の動きに注目したいと述べている。
オバマ大統領が大統領権限で進めようとする移民制度改革を巡って、共和党の州知事らが憲法違反だと訴えたのに対し、南部テキサス州の連邦地方裁判所は2月17日までに制度改革の実施を禁じる仮処分の決定を出した。
これに対し、オバマ政権は2月23日、判事に対し、大統領令による移民制度改革を一時差し止めるとした先週の同判事の決定の執行延期を求めた。
司法省はこれとは別に、この命令の取り消しを求めてニューオーリンズの第5巡回控訴裁判所に提訴した。早い時期に最高裁判所で審理される可能性がある。
9月までの予算は成立したが、債務上限問題が残っている。
2011年5月に14.29兆ドルの上限に達して以降、米国は何度もデフォルトの危機に見舞われた。
2014年2月に、歳出削減などに関する条件を設けずに、債務上限の適用を2015年3月まで凍結する法案が通り、一息ついた。
2014/2/14 米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定
しかし、本年3月15日にその期限が来る。それ以前に上限引き上げなどの措置が取られなければ、財務省は臨時措置を通して資金を調達する必要が出てくる。
米議会予算局は3月3日、連邦債務上限が引き上げられなければ、10月もしくは11月に財務省の資金調達手段が尽き、資金が枯渇するとの予想を示した。
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