中東4カ国を歴訪中の韓国の朴槿恵大統領は3月3日、2番目の訪問国のサウジアラビアでサルマン新国王と会談し、韓国製の中小型原子炉「SMART」 2基のサウジでの建設・試験運用と、第三国への共同輸出を推進する内容の了解覚書を締結した。
韓国が開発した中小型の出力10万kw のSMART (System-integrated Modular Advanced Reactor) は発電や海水の淡水化など多目的に活用でき、冷却水の代わりに空気で原子炉を冷却できるため、内陸地域での建設も可能。SMART 2基の事業費は20億ドル。
電力生産と同時に4万トンの海水を淡水化でき、1基で人口10万人の都市に電力と水を供給できる。
発電コストは大型原発に比べると高いが、天然ガスや石油と比較すると十分競争力があるとしている。
両国は共同投資で2018年まで事前検討を実施した上で、スマート原子力発電所2カ所をモデルとして建設し、共同で第三国への輸出に取り組む。
また、首脳会談を機に両国は経済分野で14件の了解覚書を締結した。
出力10万kw級(一般の原発の1/10) のSMARTは、韓国原子力研究院が中東など水不足の国家に輸出するために開発した。1997年に開発に着手し、15年間で完了、計3100億ウォン(約2200億円)の研究費が投資された。
韓国の原子力安全委員会は2012年7月、韓国原子力研究院と韓国電力を主軸とするKEPCOコンソーシアムが申請した中小型原子炉SMARTの標準設計を認可した。
韓国原子力研究院長は「スマート原子炉は冷却モーターへの外部電気が完全に途絶えても、20日以上は重力によって自動で冷却水が供給されるなど、安全と経済性を兼ね備えている」としている。
現在、カザフスタン、エジプト、リビアなど約20カ国がスマート原子炉に関心を見せているという。
SMARTの概要は http://www.davidpublishing.com/davidpublishing/Upfile/2/24/2014/2014022406472820.pdf
冷却材ポンプや蒸気発生器などの主要設備を、圧力容器の中に全て格納しており、これにより、安全性を飛躍的に向上させたとされる。
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