東京電力は3月25日、原子力規制委員会の第33回特定原子力施設監視・評価検討会に提出した資料で、2014年4月からの1年ほどの間に、福島第一原発から7420億ベクレルの放射性セシウムが海に漏出していたとの試算を明らかにした。
資料:https://www.nsr.go.jp/data/000101568.pdf P.66
うち、護岸から専用港への流出が5100億ベクレルで最大である。
314日間の流出量 (億ベクレル) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このうち、護岸からの流出に対しては、海側遮水壁で流出を防ぐこととなっていた筈である。
政府の原子力災害対策本部は2013年9月3日、東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れ事故について、政府として主体的に取り組むことを明記した「基本方針」を了承した。
汚染水を漏らさない対策の一つとして、海側遮水壁(鋼鉄製の板の壁で、海底から海面上まで幅800mにわたり約700本)を設置し、内側を埋め立てるとなっていた。
2013/9/7 福島原発 汚染水対策
現在、東電のホームページでは以下の通り記載されている。
海側遮水壁
汚染水の海洋流出を阻止するため、2012年5月より、1~4号機の護岸海側に遮水壁を建設しています。
全長約780mの海側遮水壁は、現在、約770mまで建設されたところです。(2015.1.1現在)
しかし実際は、海側遮水壁が完成すると地下水が行き場を失って水位が上がるため、全780mのうち770mを造ったところで中断し、残り10mの部分から地下水を海に流出し続けている。
下記のサイトに広河隆一氏の空撮写真が掲載されているが、遮水壁の内部が埋め立てされているうち、1箇所だけ壁板がなく、海水が出入りできる状態であることが見られる。
http://oshidori-makoken.com/?p=921
東電によると、陸側対策が完成してから、海側遮水壁を閉じることになっているが、凍土壁の完成する時期が見通せない状況が続いており、今後も流出が続くこととなる。
なお、専用港では遮水壁未完成箇所を含め3箇所にシルトフェンス(海面から海底までカーテン状になっている汚濁防止フェンス)を張っているだけで、港外への流出防止は完全ではない。
(汚染水が流出してシルトフェンス内側の水量が増えると、フェンスを超えてフェンス外に出る。シルトフェンスの破損事故もあった。船が接岸する際はフェンスを外す。)
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