中国では広州汽車集団との合弁会社がある広州市内に小型車「Yaris(日本名ヴィッツ)」を最大で年間10万台つくれる規模の新工場を設け
る。 付記
4月11日の報道によると、トヨタ自動車は別途、第一汽車集団との合弁会社である天津一汽トヨタで数百億円を投じて年産10万台規模の工場を新設し、2018年にも稼働させる方向だという。
メキシコでは中部のグアナファト州に最大で年間20万台生産可能な工場を建設する。
トヨタにとっては本格的なメキシコ進出で、北米向けに「カローラ」の新型車を輸出する。
現在、カローラをつくるカナダと米ミシシッピ州の工場のうち、カナダは大型車をつくる拠点に衣替えする。
トヨタは2008年ごろまで生産能力を年20万~30万台規模で増やし、グローバル展開を進めたが、リーマン・ショック後の需要急減で固定費がかさみ連結営業赤字となり、収益体質改善のために2013年から工場新設を凍結してきた。
2013年稼働のタイ工場以来、5年ぶりの大型投資に踏み切る。
日本の自動車業界の海外進出による輸出減少は円高のせいと言われた。
しかし円安になっても輸出は増えず、逆に減少している。
2014/8/7 円安と自動車輸出
最新の統計では下記の通りで、2014年は、国内生産はほぼ前年並みに対し、海外生産は増加しており、輸出は大きく減少している。
輸出実績(千台)
2011 2012 2013 2014 前年比 2011年比 ト ヨ タ 1,395 1,750 1,701 1,582 -120 187 日 産 663 633 501 425 -76 -238 マ ツ ダ 651 672 788 761 -26 111 三 菱 432 361 335 369 34 -63 ダ イ ハ ツ 22 10 8 8 0 -14 ホ ン ダ 235 215 125 31 -94 -204 富士重工 298 379 471 542 71 243 ス ズ キ 234 176 136 118 -18 -116 計 3,930 4,196 4,066 3,836 -230 -94
本年に入り、日産が米国への輸出向けに国内生産を増やすとか、ホンダが輸出採算の改善を受け、輸出を増やすとの記事が出た。
しかし、日産は海外需要が好調で、海外工場がフルになったため、余剰能力のある日本の稼動を上げるというものである。
ホンダは英国工場が販売不振で1ラインを停止することから、今夏のモデルチェンジを機に小型車「ジャズ」の生産を寄居工場に切り替えるものである。
両社とも、2011年比では200千台以上の輸出減となっており、日本の余剰能力の活用であって、工場を新設する訳ではない。
トヨタが円安のなかで日本での増設ではなく、海外での増設を決めたのは、グローバルな競争に勝ち抜くためには、現地生産は欠かせない戦略であるということである。
円高だけがこれまでの自動車の輸出減の原因ではなく、円安になっても輸出増にはすぐにはつながらない。
円安だけでは日本経済の再建はできず、第三の矢の成長戦略(=規制緩和)が絶対的に必要である。
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