国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得

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国際石油開発帝石(INPEXは4月27日 、アブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。

ADCO鉱区は同国陸上に位置する11の生産油田と4つの未開発油田から構成されており、本鉱区全体で日量約160万バレルの原油が生産されている世界でも有数の巨大油田群。

ADCO社が本鉱区のオペレーターを務めており、INPEXはADNOCやADCOなどとともに、2017年までに原油生産量を日量180万バレルへと引き上げるべく、開発作業を進める予定。

本鉱区から生産される原油は、同国西部地域のジェベルダナからの出荷に加えて、2012年に稼働を始めた石油パイプラインを利用してインド洋に面したフジャイラからも出荷されている。

日本としては日量8万~9万バレル分の原油を新たに調達できることとなる。

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ADCO鉱区は4つの地域に分かれている。

1)SE Hub (South East Asset)

Asab 油田 
Sahil 油田 
   
Shah 油田    
Qusahwira 油田
Mender 油田  開発中、2017年生産開始予定

2)Bab Asset

3)Bu Hasa/Huwaila/BQ Assets

Bu Hasa 油田  
Huwaila 油田   
Bida Al-Qemzan (BQ) 油田 

4) North East Bab (NEB)

Dabbiya 油田
Rumaitha 油田
Shanayel 油田

 

陸上油田は1939年以降、外国の石油会社に採掘権を与えられてきた。

1971年の独立を機に、Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC)が参加しAbu Dhabi Company for Onshore Oil Operations (ADCO)を設立した。

ADNOCの出資比率は15%であったが、1974年に60%となった。
他のメンバーは以下の通り。

BP、Shell、Exxon Mobil、Total  各9.5%、計38%
PortugalのPatex Oil and Gas 2%

これら各社の権益は2014年1月10日に期限切れで失効した。

これについて、新しく40年間の権益が与えられることとなり、各社が応札している。

先ず2015年1月1日付けでフランスのTotal が10%の権益を取得した。
今回のINPEXの5%権益取得はこれに続くもの。

残りの25%分を次の各社が争っているとされる。

  BP、Shell (当初の権益者)  
    残るExxonMobil は海上油田Upper Zakum優先で、陸上権益争いから降りたとされる。
  Korea National Oil Company (KNOC)、PetroChina

  ロシアのRosneft やノルウェーのStatoil は権益争いには入っていないとされる。

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INPEXは、2004年5月に、石油公団(当時)が保有するジャパン石油開発(株)(JODCO)の全株式を株式交換により取得し、同社を完全子会社化した。

ジャパン石油開発は同国において海上油田の開発で40年以上にわたり事業を展開している。

INPEXでは、今回の権益取得は、長きにわたり携わってきた数々の石油開発生産事業での操業実績や技術的貢献が評価されたものと理解して いる。

同社の所有する権益は下記の通り。このうち、1996年1月に権益を取得したアブ アルブクーシュ鉱区はInpexとして進出したもの。
同鉱区から生産される原油は、パイプラインを通じてダス島へ送られた後、ウムシャイフ原油と混ぜられ、ウムシャイフ原油として出荷されている。

  JODCO INPEX ADNOC BP TOTAL(仏) ExxonMobil
下部ザクム油田   12%     60%  14.67%  13.33%  
ウムシャイフ油田 12%   60%  14.67%  13.33%  
ウムアダルク油田   12%     88%      
上部ザクム油田   12%     60%       28%
サター油田   40%     60%       
ウムルル油田 12%   60% 14.67% 13.33%  
ナスル油田  12%   60% 14.67% 13.33%  
アブアルブクーシュ油田   25%     75%  


従来の油田は2018年に期限が来るため、延長交渉を行っている。
このうち、上部ザクム油田については2014年1月20日に2041年まで延長された。
 



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