DuPontは4月6日、来る5月13日の株主総会に向け、株主に対して同社の過去の実績、今後の方針などを説明する詳細資料を発表した。
昨年来、物言う株主(Activist)のNelson Peltz が率いる米Trian Fund Management が会社の分割を要求しているが、DuPont が反対姿勢を崩さないので、要求の実現を目指すため、Peltz氏を含めて4人の取締役を選任するよう求めている。
資料では、DuPontのこれまでの方針、今後の方針が正しいこと、Trianの要求する会社分割がいかに問題であるかを説明、Trianが退任を求めている4人の現取締役が適任であるとし、逆にTrian が推薦している4人の取締役候補が経験などの点からDuPontの取締役には適していないとしている。
1. Proven Track Record of Success
2. DuPont's Strategy for Higher Growth and High Value
3. Highly Qualified Board and Best-in-class Corporate Governance自社のPR 4. Trian's High Risk Breakup Proposal
5. Trian's Proxy FightTrian の問題点 6. Concluding Remarks
http://dupontdelivers.com/media/2015/03/Investor-Presentation-4-6-2015.pdf
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Trian Fund Management はDuPont の業績が期待値よりはるかに悪いとし、次のように主張する。
・ DuPontの企業構造を評価し、現経営陣が現状のままで最高水準の業績を達成できるか、又は事業を分割する必要があるか、検討すべきだ。 ・ 過剰な本社費をカットし、生産性を上げろ。 ・ 資本のアロケーション(研究・設備投資、M&A、バランスシート改善、増配等)を再検討せよ。 ・ 企業ガバナンスの改善
Trianの主張 http://trianwhitepapers.com/wp-content/uploads/2015/02/DuPont-White-Paper.pdf
同詳細とDuPontの実績の分析 http://trianwhitepapers.com/wp-content/uploads/2015/02/DuPont-White-Paper.pdf
Trianの具体的提案は下記の通り。
1. 既に発表されているPerformance Chemicals部門に加え、DuPontを2社に分割する。 GrowthCo (Agriculture, Nutrition and Health, Industrial Biosciences)
CyclicalCo/CashCo (Performance Materials, Safety and Protection, Electronics and Communications)
景気変動に左右される。現金回収〔償却費+利益〕は大きい。
金額は2013年の売上高 2. 無駄な本部費をカットし、ゼロベース予算をたて、各セグメントで業界一の増収・増益を達成するタイムフレームをつくる。 各部門に配賦しない10億ドルの本部費を含む過剰な本社費 20~40億ドルがある。官僚的かつ無責任。
2014年9月のDuPont宛の書簡では、DuPontが持株会社として、ゴルフ場や1252席の大劇場、さらには217室のホテルなど、無駄な経費を支出しているとしている。3. CyclicalCo/CashCo とGrowthCo の間で、株主に貢献するような資本のアロケーション 4. コーポレートガバナンス
なお、DuPontは機能化学品部門を2015年央にスピンオフし、The Chemours Company の社名で別途上場することを決めている。
また、Performance Coatings 部門は2012年に売却済み。2012/9/5 DuPont、Performance Coatings事業をCarlyle Group に売却
2013/7/29 DuPont、Performance Chemicals 事業の売却を検討 付記
Trian は分社化で年間20億~40億ドルのコスト節減となると主張している。
これに対するDuPontの反論は下記の通り。
・新たな2社の形成、債務の移行や税法上の変更に関連する費用を含めると、分社化には40億ドルがかかる。
・更に、分割により管理費の重複や税効果の減などで、毎年10億ドルのコストが余分にかかる。
・現在は、下記のように異なる部門にまたがる研究開発で新製品が生まれているが、分割によりシナジー効果がなくなる。
DuPont 5月13日の株主総会に備え、議決権行使助言サービス大手との会合を予定している。
なお、DuPont はTrianの要求している人の取締役候補のうち、Nelson Peltz ほか2人は拒否、1人だけは受け入れてもよいとしているとされる。
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