東京電力と中部電力は4月15日、燃料上流・調達から発電まで、火力発電事業のサプライチェーン全体に係る包括的アライアンスに伴う共同事業会社 JERA を4月30日に
両社50%ずつの出資で設立すると発表した。
社名は JAPANとERA(時代)を組み合わせた。
両社は2014年10月7日に基本合意書を締結し、本年2月9日に合弁契約を締結した。
これにより、
LNG調達量は年間約4000万トンと世界最大級になり、価格交渉力を高めることで燃料調達コストを削減するほか、火力発電事業の効率化を進める。
JERAの基本理念は以下の通り。
(1) | グローバルなエネルギー企業体の創出で、エネルギーの供給を安定的に行うとともに、両グループ双方の企業価値を向上 |
(2) | 新たなエネルギー事業モデルを構築し、自立的な事業運営と迅速な意思決定が可能な経営体制を確保 |
(3) | バリューチェーン全体を一体的かつ最適にマネジメントし、事業全体での効率を高め、競争力向上、利益追求を図る。 |
事業内容と今後の事業拡大と、それに向けたロードマップは下記の通り。
スタート時 | 新規分 ①新規の燃料上流事業開発・燃料調達事業 ②国内火力発電所の新設・リプレース事業 ③新規の海外発電事業開発 |
2015/10/1 | 両社の燃料輸送事業、燃料トレーディング事業をJERAに統合 |
2016年夏頃 | 両社の既存燃料事業(上流事業、調達事業、受入・貯蔵・送ガス事業等)や既存の海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAに統合 |
2017年春頃 | 両社の既存火力発電事業のJERAへの統合を 判断(現在のところは白紙) |
統合により、LNG調達は年間4,000万トンと世界最大級になり、石炭も今後、3,000万トン程度となり、価格交渉力が高まる。
最終的に既存の火力発電も統合した場合、設備容量は7,400万kW程度となり、世界トップ水準の1億kW
も視野に拡大も可能となる。
しかし、既存の火力発電の統合は今のところ白紙である。報道では「同床異夢の火力統合」としている。
東電側は、「サプライチェーン全体の統合が圧倒的な強みになる」、「既存火力まで統合しないと提携の意味がない」とする。
これに対し中部電力は、「最終形は一体が望ましいが、まず統合の一つ一つの成果を確認していきたい」と慎重である。
中部電力の姿勢は、下記の点からきている。
「火力の効率的な運用や燃料調達手法に磨きをかけてきた。火力は競争力の源泉」で、たやすく東電に渡したくない。
東電は経営再建の行方が不透明 なうえに、実質国有化されている。国の関与が中部電にも及んでくるのではないかとの懸念がある。
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