2013年12月に成立・公布された独占禁止法改正法が4月 1日から施行される。
改正法の主なポイントは以下のとおり。
(1)1947年の独占禁止法制定以来、60年以上にわたり続いてきた公正取引委員会の審判制度が廃止される。
(2)公取委が行う排除措置命令等に対する抗告訴訟については、専門性の確保等を図る観点から、東京地方裁判所の専属管轄として、第一審の審理が行われる。
東京地方裁判所では、3人又は5人の裁判官の合議体により審理及び裁判を行うこととする。
(3)適正手続の確保の観点から、排除措置命令等に係る意見聴取手続について、予定される排除措置命令の内容等の説明、証拠の閲覧・謄写に係る規定等の整備を行う。
詳細は、http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h27/1_3/kaikenkiroku150325.files/150325shiryou_2.pdf
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2006年1月4日施行の改正独禁法の附則で、「政府は、この法律の施行後2年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされた。
公取委は同年10月16日に「独占禁止法の改正等の基本的考え方」を発表したが、審判制度については変更なしとした。
経団連は同年11月20日、「独占禁止法の抜本改正に向けた提言」を発表、そのなかで公取委の審判の廃止を主張した。
2007/11/26 経団連の独禁法改正に向けた提言
独禁法改正案が2009年6月3日に成立、同月10日に公布された。
審判制度については、「2009年度中に見直す」との付則を設け、先送りすることとなったが、衆参両院の付帯決議で審判制度を廃止する方向性を明示した。
2009/6/5 独禁法改正案成立
政府は2009年12月9日、公取委の審判制度を廃止し、東京地方裁判所に機能を移管すると発表した。
公取委は「独禁法違反の判断には経済と法律の専門的な知見が必要」として廃止に反対したため、東京地裁は専門性の高い裁判官を養成する。
(審判官7名のうち、2名は裁判官が公取委に出向している。)
2009/12/12 公取委の審判制度廃止
改正法案は2010年3月の国会に提出されたが、その後長期間継続審議となり、2012年11月に審議未了により一旦廃案になった。
政府は2013年5月24日に同内容で閣議決定し、同年12月7日未明に参院本会議で可決、成立した。
2010年3月に改正案が提出されて以来、3年9カ月かかって成立した。
2013/12/7 速報 改正独禁法が成立
公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするとなっており、2015年1月の閣議で4月1日施行が決定、公布された。
財界の長年の要望がようやく実現することとなる。
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