韓国ガス公社(KOGAS) が2011年に権利を取得したイラクのガス田が、イスラム国(IS)に占領されて事業が中断している。
すでに投資された3538億ウォン(390億円)の回収が難しいことに加え、未払い金を含む2兆9249億ウォン(約3200億円)を追加で投資する必要があることが4月3日、監査院の監査で明らかになった。
問題となっているのはシリアとの国境に近いAl-Qaim の近郊のAkkasガス田。
イラク政府は2009年6月の第一次入札にAkkasガス田とMansuriyahガス田を出したが、どこも応札しなかった。
2010年10月の第三次入札で、Kogas とカザフスタン国営
KazMunaiGasの連合が落札した。
契約生産数量は日量4億立法フィートで、報酬は原油換算5.5ドル/バレルとなっている。
2010/10/26 イラクでの天然ガス田開発、韓国連合が2ガス田を落札
その後、KazMunaiGasが撤退し、権益比率はKOGAS が75%、イラン国営石油が25%となっている。
2013年4月1日、KOGASが契約している現地会社の従業員がガス田から帰宅途中に武装勢力に襲われ、2名が殺され、1名が誘拐された。
まだ準備段階のため、KOGAS従業員はまだ現地に派遣されていなかった。
現在も米国など国際同盟軍の空襲が続いているうえ、イスラム国の勢力がすぐに弱まる見込みもなく、近寄れない状態が続いている。
KOGASは権益の売却を考えているが、買い手は見つからない。
同社ではAkkasガス田について、「新規投資は全く考えていない」としているが、監査院によると、イラク政府との契約では、未払い金と現場運営費は今後も投入しなければならないこととなっている。
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これとは別に、韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2008年2月、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。
コンソーシアムは石油公社 38%、SKエナジー 19%、デソン産業、三千里(サムチョンリ)、ボムア資源開発(各 9.5%)、GSホールディングス、マジュコ通商(各 4.75%)、ユーアイエナジー(5%)などが構成している。
クルド自治政府の州都である Irbil 近くの3鉱区とクルド北部地域のドフク鉱区を合わせて4ヵ所の鉱区が対象で、4つの鉱区の埋蔵量は、最低10億バレル以上、多ければ20億バレルに上るものと期待された。
2008/2/20 韓国エネルギーコンソーシアム、イラク油田開発
イラク政府はこれを問題視し、参加企業をイラクの入札から除外した。
2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外
しかし、クルド地区の石油開発は失敗に終わっている。
2011/9/20 韓国のイラク・クルド地区の石油開発は失敗
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