日本の化学会社が米国でエチレン工場を建設するのはこの投資が初めてとなる。
建設する工場のエチレンの生産能力は、年産50万トン。工場の立地はShintechが既に所有しているルイジアナ州Plaquemineの工業用地で、2018年前半の完成を目指す。
投資額は約14億ドルを見込み、Shintechの自己資金で賄う。
建設工事は主に東洋エンジニアリングが請負い、米国ルーマス社の技術を用いる。
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信越化学は2014年4月15日、米国子会社のShintech がPVCの主原料の一つであるエチレンを生産する工場の建設許可(Air Permit application)をルイジアナ州の環境庁(Louisiana Department of Environmental Quality)に申請したと発表した。
投資の最終決定は数ヶ月先とし、所有している4箇所を立地として評価していると述べていた。
・ルイジアナ州 AddisのPVC 58万トンプラント
・ルイジアナ州 Plaquemine の電解・VCM・PVCのコンプレックス ⇒ 今回、ここに決定した。
・上記の近く
・テキサス州 Alvin (ShintechのFreeportのPVCプラントから数マイル北) 申請は出されていない。
2014/4/17 Shintech、米国でエチレン工場の建設許可を申請
エチレンが完成すると、原料からPVCまでの一貫体制が完成、一層のコストダウンが期待出来る。
Shintechは当初、原料VCMをDow Chemicalから供給を受けていた。
1996年に Louisiana州 ConventにShintechの第二工場建設を決めたが、電解~VCM~PVCの一貫体制を考えた。
しかし、この計画は環境保護団体グリーンピースが「ダイオキシンが発生する塩ビ工場を黒人住民の多い地域に建設するのは人種差別」と攻撃して難航し、結局、1998年になり信越は立地をAddisに変更し、一貫生産を棚上げしてPVC 59万トンのみの生産とした。
2004年12月、Louisiana 州 Plaquemine に総額10億ドルをかけて塩素 45万トン、VCM 75万トン、PVC 60万トンの一貫生産を行う計画を発表した。そして今回、エチレンに進出する。
米国でのエチレンはシェールガスからのエタンを利用することで低コストが期待できる。
工業塩は工場近辺の土地の地下の岩塩層から採取でき、電解の電力料も安い。
信越化学は2013年6月、Shintech がルイジアナ州(Addis or
Plaquemine) での電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定したと発表した。
増強する生産能力はVCM 約30万トン/年、カ性ソーダ 約20万トン/年、PVC 約30万トン/年で、完成は2015年頃を目指す。投資額は5億ドル。
増設後のシンテックの塩ビ樹脂の生産能力は、ルイジアナ州の工場の既存分とテキサス州の工場を併せて295万トン/年となる。
単位:万トン
立地 PVC VCM カ性ソーダ Texas州 Freeport 145 - - Louisiana州 Addis 58 - - Plaquemine 60 160 106 今回増設 32 30 20 合計 295 190 126
2013/6/21 Shintech、生産能力拡大を決定
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