中国でも若者の間で大人気のスニーカーを扱う米運動靴大手 New Balance が中国内で使っている名称「新百倫」は他人の商標権を侵害しているとして、広東省広州市の中級人民法院が4月24日、New Balanceに対し、商標の使用中止と9800万元(約16百万米ドル)の賠償を命じた。
中国で商標登録した「新百倫」のブランド名を使い、中国内で男性用の靴を製造・販売していた広州の経営者・周某倫 が、多くの消費者に誤解を与えていると訴えていた。
新百倫の「百倫」は、百倫大飯店 (Balen Hotel) などのように、Balanceの音を漢字にしたもの。
New Balanceは1906年に米国で設立されたが、2006年に上海新百倫公司を設立し、新百倫ブランドで販売を開始した。
ーーー
広州の経営者・周某倫の家族が1996年に衣服、靴、帽子、靴下などを対象に
「百倫」の商標を申請した。
1996年8月21日にこれが認められ、2004年4月に権利を周某倫に移した。
その後、2008年1月に「新百倫」の商標が登録された。
その間、周某倫は「百倫」、「新百倫」のブランドで男性用製品を製造販売している。
この周某倫が、New Balanceによる「新百倫」 ブランドでの販売が、多くの消費者に誤解を与えていると訴えたもの。
ーーー
判決では、New Balance 側が2007年に周某倫の商標を認めないよう当局に申し立てていた経緯から、商標登録について明らかに知っていたと指摘 した。
New Balance 側は、自社の「New Balance」の商品名を翻訳しただけとも反論したが、New Balance側が「New Balance」の意味を漢字にした「新平衡」や、「New Balance」の音を漢字にした「紐巴倫」(ニウパールン)といった別の名称を使ったこともあったため、認められなかった。
ーーー
中国では日本の製品名が無断で商標登録されるケースが相次いでいる。
今回の場合は、「新百倫」 ブランドそのものは海外で使用されてはおらず(日本では「ニューバランス」ブランドで販売されている)、「New Balance」の「New」の意味と、「Balance」の音を漢字にした組み合わせの一つに過ぎず、先願があり、それへの異議が認められなかったことから、判決は止むを得ないと思われる。
中級人民法院の幹部は「中国で公平な競争をするには、知的財産権を勉強しなければならないということを海外ブランドに気づかせてくれるだろう」とコメントした。
コメントする