ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D600」で写真を撮ると黒い点のようなものが現れる問題をめぐり、上海市民が「ニコンが虚偽の宣伝で消費者の権利を侵害した」としてニコンの中国法人を訴え、商品の返品と返金、および代金の3倍にあたる賠償金の支払いを求めた裁判で、上海市黄浦区人民法院(地裁)はこのほど判決を下し、返品の要求は支持したが、3倍の賠償金については要求を退けた。
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「中国消費者の日」にあたる2014年3月15日、中国中央テレビ(CCTV)は、毎年恒例の消費者保護番組で、「ニコンのデジタルカメラには欠陥がある」と批判した。
デジタル一眼レフカメラ「D600」で撮影した画像に黒い斑点が写り込むなどの不具合が多発し、部品交換などの保証対応も不十分だとした。
上海市の工商局は3月16日、ニコンに対し「D600」の中国国内での販売停止を命じた。
ニコン中国法人は、正式な謝罪を行うとともに、D600の利用者に無償で点検とクリーニングサービスを提供すると発表した。問題が解決されない場合は、新しい機種と交換する。
原告は2013年5月にD600を1万2999元(約25万4千円)で購入したが、撮影した写真のあちこちに黒い点が現れるのに気付いた。
上記の報道を受け、「ニコンの虚偽の宣伝は詐欺にあたる」とし、返品・返金と3倍の賠償金支払いを求めた。
改正消費者権益保護法には代金の「3倍返し」、懲罰性賠償額の明確化の規定があるが、今回の判決では、ニコンが虚偽の宣伝を行って権利を侵害したとする十分な証拠がないとし、3倍の賠償金の要求を却下した。
しかし、カメラには黒点が現れるという瑕疵があり使用に差し支えることは確かであり、保管方法が適切でなかったために問題が生じたと示す証拠もないと判断した。
原告が交換を望まなかったため、裁判所はニコンに返品と返金に応じるよう命じた。
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中国では「消費者権益保護法」(1994年1月1日施行)が改正され、2014年3月15日から施行された。
主な改正は次の通り。
・リコールなどの義務化
・7日以内の返品が可能に (「三包」(包修:修理、包換:交換、包退:返品)規定の拡大)
・通販のクーリングオフ
・個人情報保護の義務化
・行政による抜取り検査、検査結果の公開の義務化
・ネット取引プラットフォーム提供者の義務
・罰則の強化(代金の「3倍返し」、懲罰性賠償額の明確化など)
参考 2015/3/14 中国、美白歯磨き粉の虚偽広告に最高罰金
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