韓国の Lotte Chemicalは6月18日、ルイジアナ州に2つの石油化学JVを設立すると発表した。
第一のJVはシェールガスに付随するエタンを分解し、エチレンを生産するもので、 Lotte Chemical が90%、Axiall Corp.が10%出資する。立地は最終的には決まっていないが、Lake Charles近郊とされている。
両社はエタンクラッカーの設計、建設、運営のため LACC LLC を設立した。
エチレン能力は年産100万トンで、出資比率に応じ、Lotteが90万トン、Axiallが10万トンを引き取るが、Lotteは自社枠のうち40万トンをAxiallに販売する。Axiallはエチレンを自社のPVCに使用する。
Axiall Corp.は2013年1月にGeorgia Gulf がPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併したもので、Chlorovinyls 部門(電解~PVC~PVC製品)とAromatics部門(フェノール、アセトン、キュメン等)を持つ。
両社は2014年2月10日、年産100万トンのエタンクラッカーの50/50JV設立の Heads of Agreementを締結した。その際、Axiallは自社のPVC用のエチレンの50%を確保するのが目的としていた。
今回、90:10に変更したが、エチレン引き取りは売買契約を通して50:50とする。なお、Axiallは出資比率を50%に引き上げるオプションを持っている。
Lotteは残りのエチレンを使い、エチレン隣接地でエチレングリコール 70万トンを生産する。
Lotteでは三菱商事とのJV設立を検討しており、その場合はLotte 70%、三菱商事 30%とする。
各紙の報道では単に「三菱」となっているが、Reutersは申請書に「三菱商事」となっているとしている。
エタンクラッカーとEGの合計投資額は26.3億ドルと見込まれているが、詳細が明らかになる本年下期に最終決定を行う。
2018年末に生産を開始する予定で、Lotteでは年間15億ドルの売上高を見込んでいる。
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Lotte Chemical は韓国(2箇所)とマレーシアに合計280万トンのエチレン能力を持つが、引取枠90万トンの追加で、370万トンとなる。
旧 湖南石化 麗川 1,000千トン 旧 現代石化(第二系列) 大山 1,000千トン Lotte Chemical Titan マレーシア ① 345千トン
② 495千トン合計 2,840千トン 合計では2,840千トンとなるが、Lotteでは2,830千トンとしている。
Lotteグループは韓国政府から湖南石油化学の株式を取得し、石化に進出した。
湖南石油化学は当初、韓国政府と三井グループのJVとして設立された。その後、ロッテが韓国政府の持ち株を取得、日本側も撤退した。
2006/4/11 韓国の石油化学-2
2003年1月に、現代石化をLGと共同で買収し、第一系列をLGが、第二系列をLotteが分割所有した。
2006/4/12 韓国の石油化学-3
2010年7月に湖南石油化学はマレーシアの石油化学大手
Titan Chemicalsを買収すると発表した。
Titan Chemicalsは2006年3月にはインドネシアのPEメーカー
P.T. PENI (BP/三井物産/住友商事合弁、LLDPE/HDPE 450千トン)を買収している。
2010/7/20 湖南石油化学、マレーシアのTitan Chemicalsを買収
2012年12月、湖南石化とKP Chemical が合併し、Lotte Chemical となった。
Lotte Chemical はウズベキスタンでもアラル海に近いSurgil
ガス田を開発し、ガス化学プラントを建設する計画を進めており、本年下半期に完成する。
今回の計画で、ナフサに依存しない石油化学を更に拡大する。
ウズベキスタンのアラル海に近いSurgil ガス田を開発し、ガス化学プラントを建設する総額41億6千万ドル規模の超大型プロジェクト契約が2011年8月23日に締結された。
2006年に韓国ガス公社(KOGAS) とウズベキスタン国営ガス公社(UNG) が了解覚書を締結し、2008年に双方が50%ずつ出資する合弁会社 (Uz-Kor Gas Chemical) を設立し交渉を続けてきた。
Uz-Kor Gas Chemicalの株主は下記の通り。
ウズベキスタン Uzbekneftgaz(UNG) 50.0% 韓国 韓国ガス公社(KOGAS) 17.5% Lotte Chemical 17.5% STX Energy(双竜グループ) 5.0% LG International 5.0% SK Gaz 5.0% Surgil のガス埋蔵量は1300億立方メートルで、液化天然ガス換算で9600万トン、原油換算で8億3000万バレルに上る。
Uz-Kor Gas Chemicalは45億立方メートルのガスを処理し、エチレン/HDPE 40万トン、プロピレン/PP 10万トンなどを生産、発電した電気の余剰分を外販する。
2011/8/29 韓国の李大統領、中央アジア3か国歴訪、ガス田開発、石化事業などで合意
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