中国商務部の高虎城部長と韓国の尹相直産業通商資源部長官は6月1日ソウルで、「中華人民共和国政府・大韓民国政府自由貿易協定」に調印した。
協定によると、双方の貨物貿易の自由化率は貿易品目の90%、貿易額の85%を超える。
貨物貿易やサービス貿易、投資と規則など計17分野をカバーし、電子商取引や競争政策、政府調達、環境など「21世紀の貿易議題」を数多く取り入れた。
双方はまた、協定が発効した後もネガティブリスト方式で引き続きサービス貿易をめぐって交渉することと、参入前内国民待遇とネガティブリスト方式に基づいて投資交渉を展開することで合意した。
商務部の高虎城部長は、「中韓FTAは中国がこれまで対外的に調印した中で議題のカバー範囲が最も広く、国別の貿易額が最も大きい自由貿易協定だ」と述べた。
韓国の尹相直長官は、「FTAを通じて、韓国と中国の経済関係が一層密接なものになり、双方の経済協力を拡大し、国際市場における両国の地位を向上させる上でプラスになる」と述べた。
韓国政府は年内発効を目指し、近く批准同意案を国会に提出する。
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中国の習近平国家主席と、APEC首脳会議のため訪中している韓国の朴槿恵大統領は2014年11月10日、北京の人民大会堂で首脳会談を行い、 両国は中韓自由貿易協定交渉が「実質的に妥結した」と発表した。
商品では、両国は品目数ベースで90%以上を開放することで合意した。
中国は品目数91%、輸入額85%(1,371億ドル)、韓国は品目数92%、輸入額91%(736億ドル)について20年以内に関税を撤廃する。
協定発効後直ちに関税撤廃に応じる割合は、中国が輸入額44%、韓国が52%で、韓国がやや高い。
2014/11/11 中韓FTA、首脳会談で妥結
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中国によると、今回のFTAは次のような特徴がある。
1) レベルの高さ
中韓両国の2014年の貿易額は3千億ドルに迫り、APEC加盟国の貿易規模の29%を占める。
中韓FTAで両国の商品貿易の90%以上について過渡期後にゼロ関税が実現されることになる。二国間貿易の分野では、中間製品が72%、資本財が18%を占めるが、FTA調印後、中間製品の86%と資本財の99%で関税が撤廃され、両国企業のコストは大幅に削減される。
2) 全面的であること
協定の範囲は17分野に及ぶ。貨物貿易のほか、電子商取引、競争政策、政府調達、知的財産権保護、環境保護などの内容をカバーする。
3) 利益の均衡
貨物貿易では、中国の税金関連の手続きの91%、輸入額の85%、および韓国の税金関連手続きの92%、輸入額の91%で自由化が実現する。
サービスと投資の分野では、双方はギブアンドテイクの関係になり、利益の均衡が実現する。
人民日報はFTAの影響を説明している。
・韓国の化粧品が安くなる
韓国ドラマが中国で大ヒットしているのを背景に、韓国の化粧品が中国で売り上げを伸ばしている。
2014年の韓国の中国向けの化粧品・洗面用品などの輸出は前年比89.3%増の5億9800万ドルに達している。
・韓国人医師が中国で医療行為可能に
韓国の医師免許を持っている医師は、中国で短期間医療行為をすることができるようになると規定されている。
中国人は、韓国に行かなくても、自国で美容整形手術を受けることができるようになる。
・中国人の韓国の旅行社利用が可能に
中国人が韓国や第三国に旅行に行く際、韓国の旅行社を利用できるようになる規定も盛り込まれている。
・映画・ドラマの交流が一層盛んに
中韓FTAが、人材育成や作品のクリエイティブ、市場拡大などの発展の面で、中国の映画・ドラマ産業にとっては後押しを得ることになる。
・その他
韓国製のスマホやノートパソコン、小型家電なども、中国市場で売り上げを伸ばすと予想されている。
一方、中国製の工芸品や衣類、食品などの労働集約型商品、中間型商品は、安価であることを武器に、韓国で売り上げを伸ばすと期待されている。(編集KN)
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1 シンガポール | 2004/11 発効 | |
2 チリ | 2006/10/1 発効 | |
3 パキスタン | 2007/7 発効 | |
4 ニュージーランド | 2008/10/1 発効 | |
5 ASEAN | 2010/1/20 発効 | |
6 ペルー | 2010/3 発効 | |
7 コスタリカ | 2011/8/1 発効 | |
8 アイスランド | 2014/7/1 発効 | |
9 スイス | 2014/7/1発効 | |
2014/7/10 中国、アイスランド、スイスとのFTAが発効 |
2014年11月に中国は韓国とのトップ会談でFTA交渉を実質的に妥結させたが、習近平国家主席は同月、オーストラリアのTony
Abbott
首相と会談し、両国の自由貿易協定(FTA)の妥結に合意したと発表、同日午後に署名した。
2014/11/21 中国と豪州、FTA交渉が妥結
韓国は米国、EU、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)、ASEAN10ヵ国、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結しており、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称している。
韓国 | 日本 | TPP参加国 (日本含め12) |
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ASEAN | 物品貿易 2007年6月1日発効 サービス貿易 2009年5月1日発効 投資分野2009年9月1日発効 |
2008年12月から順次発効 | ||
シンガポール | 2006年3月2日発効 | 2002年11月発効 | ○ | |
マレーシア | 個別には発効していないが、ASEANとして既に発効済み | 2006年7月発効 | ○ | |
タイ | 2007年11月発効 | |||
インドネシア | 2008年7月発効 | |||
ブルネイ | 2008年7月発効 | ○ | ||
フィリッピン | 2008年12月発効 | |||
ベトナム | 2009年10月発効 | ○ | ||
中国 | 今回調印 | |||
インド | 2010年1月1日発効 | 2011年8月発効 | ||
オーストラリア | 2013/12 実質合意 | --- | ○ | |
ニュージーランド | 2015/3/23 正式署名 | --- | ○ | |
トルコ | 2013年5月1日発効 | --- | ||
米国 | 2012年3月15日発効 | --- | ○ | |
カナダ | 2014年3月11日妥結 | --- | ○ | |
メキシコ | --- | 2005年4月発効 | ○ | |
チリ | 2004年4月1日発効 | 2007年9月発効 | ○ | |
ペルー | 2011年8月1日発効 | 2012年3月発効 | ○ | |
コロンビア | 2013年2月21日 正式署名 | --- | ||
EFTA | 2006年9月1日発効 | --- | ||
スイス | (EFTAとして締結) | 2009年9月発効 | ||
EU | 2011年7月1日暫定発効 | --- |
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