米最高裁、ObamaCare補助金支給は合法と判断

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米連邦最高裁判所は6月25日、オバマ米大統領が推進する医療保険制度改革法(Affordable Care Act :通称 ObamaCare)の一部の政府補助金支給の是非について争われた裁判で、6対3で支給は合法とする判断を下した。

ObamaCareは医療保険に未加入だった低所得者に安価な保険を提供するため、民間の医療保険購入者に政府が補助金を支給する仕組み。

条文では州政府のウェブサイト
("established by the state")を通じた保険購入者が支給対象だが、ObamaCareに反対する野党・共和党知事の州など34州がサイトを開設しなかったため、連邦政府サイト「HealthCare.gov」を通じた購入者にも補助した。

  毎日新聞 2010/3/23


連邦政府サイト「HealthCare.gov」を通じた購入者への補助が合法かどうかが争点となった。

原告のバージニア州民4人は、条文に基づき「州政府の運営するサイト」で加入した個人にのみ補助金が適用されるべきだと訴えていた。

オバマ政権は、法律の全体構造や設計を見れば、手ごろな医療保険の全米への拡大を目的としたものであることは明白だと主張していた。

最高裁は、連邦政府の医療保険登録サイト「HealthCare.gov」での加入者も含めた全州の住民への補助金支給を可能にするものと判断した。

ロバーツ最高裁長官は多数意見を代表し、下記の通り述べた。

問題の文章は曖昧だが、法の主旨は全体として明らかである。
法律の文脈や構造からは、文言をそのまま読むのとは
異ならざるを得ない。

議会は健康保険市場を破壊するためでなく改善するためにObamaCare法を通した。我々は可能な限り、「破壊」を避け、「改善」に沿うよう、法律を解釈せねばならない。

これに対し、反対した Scalia判事は、議会が決めたずさんな法律を補うのは裁判所の仕事でないと述べた。
最高裁が補正しなければならないなら、ObamaCareではなく、SCOTUScareと呼ぶべきだとした。(SCOTUS=Supreme Court of the United States)

最高裁で違法判決が出れば、34州に暮らす650万人が税控除を受けられなくなるはずだった。
 

ObamaCareの保険加入の義務づけについては、2012年に最高裁は合憲と判断していた。 前回もロバーツ長官が主導した。

13の州が医療保険制度改革が憲法違反だとして政府を提訴した。
「憲法のどこでも、米国が直接あるいは罰則を科すとの脅しの下に、市民や合法的な住民がすべて適格な保険に加入するよう命じることは認めていない」としている。

フロリダ州司法長官が旗振り役で、サウスカロライナ、ネブラスカ、ミシガン、ユタ、ペンシルベニア、アラバマ、サウスダ コタ、アイダホ、ワシントン、コロラド、ルイジアナ州の司法長官が加わった。このほか、バージニア州が単独での提訴に踏み切った。


米バージニア州の連邦地裁は2010年12月13日、医療保険改革法について、国民に医療保険加入を義務づけ、未加入者に罰金を科す条項を立法権の逸脱と指摘し、この条項が憲法に違反するとの判決を下した。
米国憲法には、ある商品を買わないとする個人の判断を規制する条項は見当たらないとした。
同様の訴訟では、ミシガン州など2カ所の連邦地裁が既に合憲判決を出している。

オバマ政権は控訴した。

米最高裁判所は2012年6月28日、米国民に保険の加入を義務付ける医療保険改革法について、主要部分を支持するとの判決を下した。
最高裁の9人の判事のうち、ロバーツ長官を含む5人が支持、ケネディ判事ら4人が不支持だった。不支持とした4人は、医療保険改革法全体が違憲と判断した。
ロバーツ最高裁長官は「医療保険を取得しない特定の国民に対して罰金を課すことは、合理的に税金として位置づけられる可能性がある」とした。

米メディアは「オバマ政権にとって2回目の勝利となる」と伝えた。

オバマ大統領は判決後、ホワイトハウスで声明を読み上げ「勤労者の勝利だ」と述べ、同法により「1600万人以上の保険未加入者が保険を得た」と成果を強調した。

2010年に成立したObamaCareは、全米で約5千万人いた無保険者の削減を目指したオバマ政権の看板政策。共和は財政負担が増え、中間層や企業にとってマイナス面が大きいとして反対 している。

大統領選の共和党候補はこの判決を批判している。Jef Bush は、「これはObamaCareに対する戦いの終わりではない。大統領になれば、誤ったヘルスケアシステムの是正を最優先事項の一つとする」と述べた。




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