タイ石油公社 PTTはタイの6つの製油所のうち、5つを所有し、独占との批判を受けていた。
同社は本年に入り、そのうちの1社の持株全てを売却、他の1社についても年内に手放す。
精製能力 (千bpd) |
PTT | 他株主 | |
Thai Oil | 275 | 49.10% | |
IRPC (旧称 TPI) |
215 | 38.51% | |
PTT Global
Chemical (旧称 PTT Aromatics & Refining) (元はRayong Refinery) |
145 | 48.89% | |
Star Petroleum Refining |
155 |
36%→0%(IPO) |
Chevron 64%→55%(IPO後) |
Bangchak Petroleum | 120 | 27.22%→0% |
買い手 Vayupak Fund →15.60% Social Security Office →14.43% |
Esso Thailand | 177 | ExxonMobil |
2015年2月、PTTはBangchak Petroleumの持株
27.22%のうち、15%を政府のVayupak Fundに売却、続いて2015年4月に残りの12%を政府のSocial Security Fundに売却した。
売却後のBangchakの株主構成は、Vayupak Fund 15.60%、Social Security Fund 14.43%、財務省 9.98%、一般株主 59.98%となっている。
PTTの関係者はこのたび、Star Petroleum
Refining がPTTの持株(36%分) をもとに株式公開(IPO)を行うことを明らかにした。
これにより200~250億バーツ(588~735百万ドル)を集める計画で、PTTはStar Petroleum を手放すこととなる。
PTTは独占の批判を避けるため、以前からIPOを通じての売却を検討してきたが、規制面での諸問題とJV相手のChevronとの意見の相違からIPO 実施が何年も遅れていた。
当初、政府はIPO実施後もPTTが少なくとも25%を保有することを求めていたが、本年3月にこの条件を外した。
JV相手のChevronはIPO後にも55%の出資を行う。
この結果、PTTの石油精製事業は、Thai Oil、IRPC (旧称 TPI)、PTT Global Chemical(元はRayong Refinery)の3つとなる。
PTTの精製事業そのものは、比較的好調で、2015年第1四半期の稼働率は
97%、精製マージンは前年同期比で13%増、純利益は3億5,500
万ドルで前年同期から274%増加している。
同社では、「ガス時代の到来に向けた準備を整える」としており、上流ではパイプラインやLNGターミナルの新増設、下流では石油化学事業の収益力強化に向け投資を積極化していく方針としている。
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各社の概要は下記の通り。
Thai Oil
半世紀前に35千bpdでスタートし、現在は275千bpdでタイ最大の製油所。
下記の子会社を持つ。
Thai Paraxylene
Paraxylene 527千トン Mixed Xylen 52千トン Benzene 259千トン Thai Lube Base
Solvent and Chemical Products
IRPC(旧称 Thai Petrochemical Industry:TPI)
Thai Petrochemical Industry (TPI) はPrachai Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、Prachai が居座りを続け、迷走した。
2005年にはタイ証券取引所が、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
2006年5月になり、同社取締役会はようやくPrachai を解任した。
IRPCと改称した現在の同社の現在の株主はPTT が38.51%、Government Savings Bank 9.54%など。石油化学の状況は 2006/6/8 タイの石油化学の現状
PTT Global Chemical
1991年にShellとPTTがRayong Refineryを設立し、145千bpdの製油所を建設した。
1999年のアジア経済危機に直面し、Rayong Refinery(Shell/PTT) はStar Petroleum Refining(Chevron/PTT) とのJVのAlliance Refining Companyを設立し、営業提携した。
(2009年に提携を解消)2004年にShellは持株をPTTに譲渡し、撤退した。
2007年にRayong Refinery とPTT傘下のAromatics (Thailand)が合併し、PTT Aromatics and Refining とし、2011年にPTT Chemical と合併してPTT Global Chemical となった。
Star Petroleum Refining
1992年にChevron South Asia 64%、PTT 36%の出資で設立。
1996年に130千bpdでスタート。
1998年に能力を155千bpdにアップ。1999年にRayong Refineryと提携したが、2009年に解消。
Bangchak Petroleum
1984年設立。
120千bpdの製油所を運営、1000箇所以上のサービスステーションを持つ。
太陽光発電も行っている。2014年10月に、フィリッピンで主に活動する豪州の石油・ガス会社 Nido Petroleumの株の81.41%を買収した。
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