国際石油開発帝石(INPEX)とフランスのTotal が50%ずつ権益を保有し、Total がオペレートしているインドネシアの東カリマンタン州のマハカム(Mahakam)沖鉱区は2017年末に鉱区の期限を迎える。
しかし、インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は6月19日、国営石油会社プルタミナ(Pertamina)に権益の70%を与えると発表した。
このうち、10%分は東カリマンタンの地方企業に配分することとなっている。
残りの30%は、ほとんど50年にわたり鉱区を運営してきたことに対する感謝として、INPEXとTotalに与えるとしている。
2018年1月以降はPertaminaがTotalに代わり、鉱区のオペレーターとなる。
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国際石油開発帝石(INPEX)は1966年10月にインドネシア政府と生産分与契約を締結し、マハカム沖鉱区の100%権益を取得した。
しかし、1969年に同鉱区で第一坑井を試掘したが出油せず、1970年7月に権益の50%をCFP社(現TOTAL)に譲渡した。
その後、ブカパイ油田、ハンディル油田、タンボラ油ガス田、トゥヌガス田、ペチコガス田、シシ・ヌビガス田などが順次発見され、以降、生産を続けている。
両社は2007年3月、マハカム沖鉱区に隣接する南東マハカム鉱区の権益を取得した。
2012年10月末に生産開始した。
生産された原油とコンデンセートは、積み出し基地であるサンタンターミナル、およびスニパターミナルから日本の石油精製会社、電力会社などへ出荷し、天然ガスは主にボンタンLNGプラントでLNGにして日本をはじめとする需要家向けに出荷している。
なお、アタカユニットは、1970年4 月にINPEXとUnocal(現Chevron)が50%ずつの権益比率で双方の隣接鉱区の一部を統合して設定され、1972年から原油・天然ガスの生産を続けている。
現在の生産量は、
原油・コンデンセート:日量 約7.1万バレル
LPG:日量 約6千バレル
天然ガス:日量 約14.9億立方フィート
となっている。
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インドネシアのKompas紙によると、Pertaminaの労働組合幹部はマハカム鉱区に関し、エネルギー開発の独立性を維持するため外資の参画を認めず、100%をプルタミナが握るべきだとジョコ大統領に伝えた。
同鉱区のような大型の石油・ガス田を運営には、巨額のの資金と高度な技術が必要で、大きなリスクも伴うが、「今こそ政府はプルタミナの能力を信用すべきだ」と訴えている。
東カリマンタンの鉱業保護の活動家は「ジャワ島東部
BojonegoroのCepu鉱区の例をあげ、民間の参画を警戒すべきだとしている。
しかし、インドネシアの一小企業の行動と、ほとんど50年にわたり鉱区を運営してきた両社を一緒にするのはおかしく、Pertaminaが運営を担当することからも、この決定は変わらないと思われる。
Cepu鉱区のバンユー・ウリップ油田は2014年に生産開始した。
同鉱区の権益所有は下記の通りとなっている。
エクソンモービル(オペレーター) 45%
プルタミナ 45%
地方企業 10%
Surya Energy Raya 3.375%
Asri Dharma Sejahtera 1.125%
Sarana Patra Hulu Cepu 1.100%
Blora Patragas Hulu 2.200%
Petrogas Jatim Utama Cendana 2.200%このうち、Surya Energy Rayaが自社の負債の解消のため、アフリカその他での石油開発に注力している中国人の徐京華 (Sam Pa) の企業 China Sonangol International (安中國際石油) から2億ドルを借り、見返りに権益を同社に貸与したとされる。
* Sonangol はアンゴラの国営石油会社の社名。Sam Pa はアンゴラにも進出している。
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