JG Summit Olefinsのフィリッピン初のナフサクラッカーは、昨年6月に試運転を開始したが、技術問題により商業運転は年末にずれ込み、最近、ようやく稼働率を85%程度まで上げてきた。
JG Summit Holdingsの100%子会社JG Summit
Petrochemical が1990年代初めに構想し、検討してきたもので、2005年末にようやく構想が前進した。
しかし、JG Summit Olefinsは最初
2005年に登記されたものの、資金問題で計画が遅延し、2010年に再登記された。
マニラ南方のBatangas のJG
Summit Petrochemical のPE、PPに隣接して建設したもので、
能力はエチレンが320,000トン、プロピレンが190,000トン、分解ガソリン 216,124トンとなっている。
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JG Summit Holdingsはフィリッピンのコングロマリットで、下記の7つのコア事業を行う。
消費財、食品:Universal Robina Corporation
不動産、ホテル:Robinsons Land Corporation、United Industrial Corporation (Singapore)
航空:Cebu Pacific Air
石油化学:JG Summit Petrochemicals、JG Summit Olefins
金融:Robinsons Savings Bank
テレコム:Philippine Long Distance Telephone Company
電力:Manila Electric Company
JG Summit Petrochemicalは1998年4月に JG
Summit Holdings 80%/丸紅20%のJVとして設立された。
BatangasにPE(HDPE/LLDPE) 175千トン(現在 200千トン)、PP 180千トンプラントを建設した。
丸紅はその後、出資比率を17.72%としたが、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。
JG Summit Olefinsは、同国最初のナフサクラッカーとして、6年間(2014年1月から)の免税など、税務上その他の恩典を受ける。ーーー
現在のフィリッピンの石油化学のメーカーは下記の通り。
メーカー 立地 製品 Capacity 増強案 JG Summit Olefins Batangas エチレン 320,000t プロピレン 190,000t JG Summit Petrochemical PE (HD/LL) 200,000t →310,000t PP 180,000t Philippine Polypropylene Inc.
(旧称 Petrocorp)Bataan PP 160,000t →225,000t
NPC-Alliance
(旧称 Bataan Polyethylene)Bataan PE (HD/LL) 250,000t Philippine Resins Industries Bataan PVC 100,000t →140,000t
→180,000tChemrez Technologies PS 30,000t
各社の概要は下記の通り。
Philippine Polypropylene Inc.(旧称 Petrocorp:Petrochemical Corporation of Asia-Pacific)
PetrocorpはChemical Industries of the Philippines, Inc. (CIP) のDr. Eusebio S. Garcia などにより設立された。
Petrocorpは採算悪化や原料プロピレン不足などで何度も操業を停止した。(原料のプロピレンは韓国、台湾、日本などから輸入しており、採算はよくなかった)
2004年頃から外資への売却を検討、2008年11月には株主のCIP や関連会社は所有するPetrocorp の株式を全額評価減している。
その後、同社はVantage Stride (Mauritius) Ltd. に売却された。フィリピン最大の石油会社Petron Corp.は2010年3月、石油化学事業の強化のため、 Vantage Stride (Mauritius) からPetrocorpの株式の40%を買収したと発表した。
2010/3/19 フィリッピン最大の石油会社Petron、PPメーカーPetrocorpに出資
その後、PetrocorpはPhilippine Polypropylene Inc.に改称した。
Philippine PolypropyleneはBataanに年産 160 千トンのPP工場を持っている。
Petronは同じ Bataan に日産18万バレルの製油所を有し、国内に1300のガソリンスタンドを持つ。
2008年にBataanの製油所にFCCとプロピレン回収設備を設置、2009年にはBTX設備を稼動させている。Petron は、川下の石油化学に進出し、プロピレンやBTXを加工し、場合により最終製品まで作りたいとしていたが、買収により、自社のプロピレンをPP原料として供給し、付加価値を高める。
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NPC-Alliance (旧称 Bataan Polyethylene)
Bataan Polyethylene は当初、BPが39%、マレーシアのPetronasが39%、住友商事が6%、現地株主のコンソーシアムのProfinda Holdingsが16%を出資して設立された。
その後、採算悪化からBPと住友商事が離脱を決め、その分をPetronasが購入する予定であったが、結局まとまらず、2003年に一旦清算された。
2004年に「プラスチック王」の異名を持つWilliam Gatchalian がMetro Alliance Holdings and Equities (Manila)を通じてBataan Polyethylene の債権を世界銀行のIFCから買い取り掌握した。
GatchalianはイランのNational Petroleum Companyとの間でエチレンの長期供給契約を締結した。
2005年にイランのNational Petroleum Company がMetro AllianceからBataan Polyethylene の60%を買収、同社をNPC-Allianceと改称した。
現在の出資比率は:
イランのNational Petrochemical Company 40%
イランのInternational Petrochemical Company 20%
Philippines Polimax (Metro Allianceグループ) 40%BataanにHDPE/LLDPE 250千トンを持つ。
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Philippine Resins Industries, Inc.
1994年7月に設立された。出資比率は二度変更されている。
設立時 2001/3 2004/3 東ソー 20% 50% 80% 三菱商事 20% 50% 20% Bank of Philippine Island 11% ー ー Mabuhai Vinyl 49% ー ー
BataanにPVCの工場を持つ。
能力は当初の70千トンから90千トンに、2004年5月に100千トンに拡大された。
設計能力としては140千トンから最終180千トンまで可能となっている。原料のVCMは東ソーが日本から供給している。
なお、当初の株主のMabuhai Vinyl はフィリッピンの現地資本のPVCメーカーで、隔膜法電解 16千トンを持ち、PVC 28千トンを生産していた。
その後、三菱商事が10%強出資、2000年に東ソーが22.68%出資した。
2009年末にTOBを行い、東ソー 94.24%、三菱商事 5.76%出資とし、現在に至っている。その後、PVCから撤退し、隔膜法(16千トン)に加え、東ソー技術でIM法電解(8千トン)を加え、電解事業に特化している。
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Chemrez TechnologiesはD&L Industriesが事業を多角化したもの。
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