政府は2030年時点のエネルギーミックスで、原発を20〜22%と決め、それに基づき、温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。
2015/6/4 エネルギーミックス最終案
しかし、現存する全ての原子炉が40年で運転終了するとすれば、2030年頃に設備容量が現在の約半分となる。
2030年に原子力を20~22%にするためには、建設中の島根・大間を稼動させた上で、40年経過の原発の半分を延長する必要がある。
既存の原発の再稼働のための安全審査の状況は下記の通り。
安全審査に合格したのは、川内1・2号機、高浜3・4号機、伊方3号機の5基だが、高浜3・4号機については福井地裁の仮処分が出ている。
2015/4/15 高浜原発、再稼働認めず 福井地裁が仮処分決定
福島第一の1~6号機に続き、40年超運転の5基(日本原子力発電・敦賀1号、関電・美浜1・2号、中国電力・島根1号、九電・玄海1号)が廃炉を決めた。
日本の原発は48基が43基になる。(他に、建設中がJパワー・大間、東電・東通、中国電力・島根があり、Jパワー大間は安全審査を申請している。)
日本原子力発電の敦賀2号機の直下の断層が活断層と断定された。廃炉は必至である。
北陸電力・志賀1号については、有識者調査団が炉建屋直下のS-1断層が活断層の可能性高いと判断した。廃炉の可能性が強い。
また、同1・2号機タービン建屋直下のS-2、S-6断層も地層に変形を生じた可能性を否定できないとしている。地震・津波対策が課題の原発も多い。
40年超の運転を目指し、関電が本年3月に、美浜3号、高浜1・2号の申請を行った。原子力規制委員会がどう判断するか、注目される。
廃炉決定
安全審査合格
運転開始 型式 能力
万KW申請
状況 (2015/7) 北海道電力
泊① 1989/6/22 PWR 57.9 2013/7/8
積丹半島西岸の隆起は「過去の地震が
原因ではない」こと 了承② 1991/4/12 PWR 57.9 ③ 2009/12/22 PWR 91.2 電源開発
大間ー
ABWR 138.3 2014/12/16
2014/4 対岸の函館市が建設、運転停止求め、訴訟 東北電力
東通① 2005/12/8 BWR
(Mark-I 改)110.0 2014/6/10
専門家調査団判断
「将来活動する可能性のある(活断層)」東北電力
女川① 1984/6/1 BWR
(Mark-I)52.4 ② 1995/7/28 BWR
(Mark-I 改)82.5 2013/12/27 規制委、火山灰の降下量の再検討指示 ③ 2002/1/30 BWR
(Mark-I 改)82.5 東京電力
福島第一① 1971/3/26 BWR
(Mark-I)46.0 2012/4/19 廃炉 ② 1974/7/18 78.4 ③ 1976/3/27 78.4 ④ 1978/10/12 78.4 ⑤ 1978/4/18 BWR
(Mark-I)78.4
2014/1/31 廃炉 ⑥ 1979/10/24 BWR
(Mark-Ⅱ)110.0 東京電力
福島第二① 1982/4/20 BWR
(Mark-Ⅱ)110.0 地元が廃炉要求 ② 1984/2/3 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ③ 1985/6/21 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ④ 1987/8/25 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 日本原子力
東海② 1978/11/28 BWR 110.0 2014/5/20 PWR優先で審査停滞 東京電力
柏崎刈羽① 1985/9/18 BWR
(Mark-Ⅱ)110.0 ② 1990/9/28 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ③ 1993/8/11 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ④ 1994/8/11 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ⑤ 1990/4/10 BWR
(Mark-Ⅱ改)110.0 ⑥ 1996/11/7 ABWR 135.6 2013/9/27
海底断層がつながっている可能性 ⑦ 1997/7/2 ABWR 135.6 中部電力
浜岡③ 1987/8/28 BWR
(Mark-I 改)110.0 2015/6/16
4号機審査優先 ④ 1993/9/3 BWR
(Mark-I 改)113.7 2014/2/14
地震・津波対策が焦点 ⑤ 2005/1/18 ABWR 138.0 北陸電力
志賀① 1993/7/30 BWR
(Mark-I改)54.0 2015/7/17 1号直下のS-1断層が活断層の
可能性高いと判断。
1・2号機タービン建屋直下の断層も問題② 2006/3/15 ABWR 135.8 2014/8/12 日本原子力
敦賀① 1970/3/14 BWR
(Mark-I)35.7 2015/3/17 日本原子力発電が廃炉決定 ② 1987/7/25 PWR 116.0 2013/5/27
敦賀2号機直下の断層を活断層と断定関西電力
美浜① 1970/11/28 PWR 34.0 2015/3/17 関電が廃炉決定 ② 1972/7/25 PWR 50.0 ③ 1976/3/15 PWR 82.6 2015/3/17
(40年超)震源断層の深さで規制委と対立
規制委、8月末までに基準地震動が確定しなければ、審査打ち切りを示唆関西電力
大飯① 1979/3/27 PWR 117.5 ② 1979/12/5 PWR 117.5 ③ 1991/12/18 PWR 118.0 2013/7/8
2014/5 再稼働を認めない判決
2014/5/30 大飯原発差し止め訴訟判決控訴審で係争中、差し止めの効力は
発生していない。④ 1993/2/2 PWR 118.0 関西電力
高浜① 1974/11/14 PWR 82.6 2015/3/17
(40年超)2015/4/30 運転期間延長申請 ② 1975/11/14 PWR 82.6 ③ 1985/1/17 PWR 87.0 2013/7/8
2015/2/12
安全審査合格2015/4/14 福井地裁 仮処分 ④ 1985/6/5 PWR 87.0 中国電力
島根① 1974/3/29 BWR
(Mark-I)46.0 2015/3/18 中国電力が廃炉決定 ② 1989/2/10 BWR
(Mark-I改)82.0 2013/12/25 四国電力
伊方① 1977/9/30 PWR 56.6 ② 1982/3/19 PWR 56.6 ③ 1994/12/15 PWR 89.0 2013/7/8 2015/7/15 安全審査合格 九州電力
玄海① 1975/10/15 PWR 55.9 2015/3/18 九電が廃炉決定 ② 1981/3/30 PWR 55.9 ③ 1994/3/18 PWR 118.0 2013/7/12 2015/3/20地裁判決
プルサーマル差し止め認めず④ 1997/7/25 PWR 118.0 九州電力
川内① 1984/7/4 PWR 89.0 2013/7/8 2014/9/10
安全審査合格2015/7/10
核燃料装填作業完了② 1985/11/28 PWR 89.0
PWR:加圧水型、APWR(Advanced PWR) :改良型加圧水型 ---フィルタ付ベント設置猶予
BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型 ---フィルタ付ベント即時設置要
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