ロッテホールディングスでは7月17日、韓国ロッテの会長でロッテHDの取締役副会長の重光昭夫(辛東彬)氏が、ロッテHDの代表取締役副会長に就任した。
重光昭夫(辛東彬)氏は重光武雄(辛格浩)会長の次男。
重光武雄(辛格浩)会長、重光昭夫副会長、佃孝之社長の代表取締役3人体制となった。
2015/7/28 ロッテ、初の日韓連結財務諸表作成
直後の7月28日、ロッテHDは取締役会を開き、創業者の重光武雄会長が代表権を外れ、名誉会長に就く人事を決めた。
創業者の重光武雄(辛格浩)氏 (92歳)の長男 重光宏之(辛東主)氏(61歳) と次男 重光昭夫(辛東彬)氏 (60歳)の内紛の結果とされる。
報道によると、今回の経緯は下記の通り。
重光武雄総括会長の長男は7月27日、父親の総括会長を車椅子に乗せ、金浦空港から日本に飛んだ。
長女の辛英子ロッテ福祉財団理事長、甥の辛東仁ロッテジャイアンツオーナー代行らが同行した。一行は東京に到着すると、新宿のロッテHDのオフィスに直行した。
総括会長は、取締役らに対し、「自分を除く6人の取締役全員を解任する」と宣言した。次男の重光昭夫副会長や佃孝之社長も含まれていた。重光昭夫副会長は7月28日朝、正式な取締役会を招集し、適法な決議を経ていない解任命令を違法だとした。
出席していない重光武雄総括会長を日本のロッテHD代表から退任させ、名誉会長に就任させることを決めた。
ロッテグループは「総括会長は日本での代表職のみを退き、韓国では総括会長職にとどまり、これまで同様に全ての報告を受ける」とし、重光昭夫会長が韓日双方のロッテを代表すると説明した。
ロッテ幹部は「グループと無関係な人物が総括会長の法的地位を利用するケースが再び起きないようにするため、総括会長には名誉会長に就いてもらった」と語った。単独では行動が不便で、90代の総括会長を重光宏之元副会長が「利用」したとの判断からという。
日本 | 韓国 | |
重光武雄 (92) (辛格浩) |
創業者、総括会長 |
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2015/7/28 ロッテHDの代表権外れ、名誉会長に | ||
長男 重光宏之 (61) (辛東主) |
当初、ロッテHD 副会長 2015/1 ロッテHD副会長 解任 グループ役職全てから外れる。 |
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次男 重光昭夫 (60) (辛東彬) |
2015/7/17 ロッテHD代表取締役副会長 就任 (日韓双方で実質トップに) |
韓国ロッテ会長 |
総括会長は18歳の時に日本に定着したが、韓国籍のまま。
日本で生まれた長男、次男は一時韓国と日本の二重国籍だったが、現在はいずれも韓国籍とされる。
今回、ロッテHDの代表権を持つのは、重光昭夫副会長と佃孝之社長の2人となる。
しかし、これで決着ではない。重光宏之氏は今後開かれるロッテHDの株主総会で取締役の入れ替えを提案するとしている。
ロッテHDには、総括会長が代表を務める資産管理会社「光潤社」が27.65%出資し、3氏や親族が直接出資しているほか、社員持ち株会が32%超を所有する。
総括会長の長女・辛英子理事長が「キャスティングボート」として存在感を強めているとされる。
報道によると、「光潤社」がロッテHDの株を 27.65%保有する実質的な持ち株会社で、同社の株は総括会長が3%、兄弟が 29%ずつ保有する。
今回の事態を受け、自社株 12%を昭夫氏が譲り受けることにしたとの報道もある。光潤社と社員持ち株会をどちらが支配するかにより、結果が決まるが、大波乱も予想される。
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重光宏之氏は7月30日付の日本経済新聞でインタビューに応じ、経緯を話した。
宏之氏のロッテHD副会長解任:
投資案件が予算オーバーし、会社に損害を与えたとの理由。
損害は数億円ほどだったが、昭夫氏などが曲解した情報を父に伝え、永久追放に近い状態にされてしまった。ようやく連休明けぐらいから『実はこういうことだったんだ』と話を聞いてもらえるようになった。
不文律を破り、韓国のロッテ製菓の株を買い増したとの話は、会長からの指示だった。昭夫氏に対抗してではない。
今回のロッテHD役員全員解任:
佃社長が功績のあった取締役などをこの1年で9人も辞めさせたことに総括会長が立腹し、直接解任を指示したが無視された。
昭夫氏も中国事業をはじめ韓国ロッテの業績をきちんと報告していなかった。昭夫氏が日韓両方の経営を見るということも総会会長は知らなかった。
総括会長は昭夫氏に日本ロッテグループ役職からの解任を指示したが無視された。このため、『自分で直接行って申し渡す』と来日し、6人の取締役の解職と執行役員4人の選任の人事を発令した。
株主総会:
総会では取締役の入れ替えを提案する。
ロッテHDの議決権は総括会長が代表の資産管理会社が33%持つ。自分の2%弱と32%超の従業員持ち株会を合わせれば3分の2となる。
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ロッテは、総括会長が1948年に東京で創業し、日韓国交正常化後の1967年に韓国へ進出した。
韓国では小売業やホテル、石油化学なども手がけており、サムスンなどに次ぐ韓国財閥5位。
2015/7/28 ロッテ、初の日韓連結財務諸表作成
韓国の事業規模がはるかに大きいが、韓国ロッテの持ち株会社に当たるホテルロッテの株は日本側がほとんどを握っている。
ロッテHDが19.07%、総括会長が代表である日本の複数の「L投資会社」が72.65%、光潤社が5.45%保有するとされる。
今回の騒動で、ロッテは規模こそ大きいが、総括会長のワンマン個人会社であることが判明した。
これまでは早く、大胆な意思決定のメリットがあったと思われるが、2代目が実質経営を担当する時代になっても、同じ体制を続けているのは問題である。
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