福島県北中部の相馬双葉漁協は7月27日、理事会を開き、東電福島第一原発の建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化して海に流す計画について容認する方針を決めた。
同県南部のいわき市漁協は既に容認を決めており、県漁業協同組合連合会も受け入れる。
第一原発の山側からは地下水が1日400トン程度、建屋側へ流れ込み、これが内部の溶融燃料に触れて汚染水が増える要因となっている。
東電は2014年5月、汚染前の地下水を海に流す「地下水バイパス」を開始した。東電によると1日約400トンあった地下水流入を約300トンに減らした。
建屋の山側に12本の井戸を設置し、流入前の地下水をくみ上げ、放射性セシウム濃度が1リットル当たり1ベクレル以下と低いことを確認して海に放出する。
流入量を1日100トン程度減らせる。福島県漁業協同組合連合会は2014年3月末、放出を容認、東京電力は2014年4月9日、「地下水バイパス」の作業を始めた。
サブドレン計画は、建屋内に流れ込む地下水を減らし高濃度汚染水の増加を抑えることなどが目的で、原子炉建屋を囲む41本の井戸から地下水をくみ上げ、浄化装置で処理し、放射性物質の濃度を基準以下にして海に放出する。
浄化装置で放射性物質濃度を1000〜1万分の1程度に下げて海に流す。
地下水を150トンに半減できると試算している国と東電は2014年8月、計画を発表したが、地元漁協との交渉が大詰めを迎えた2015年2月、原子炉建屋屋上にたまっていた汚染水が排水路から外洋に流出していたことが発覚したため、県漁連は容認に向けた意見集約を先送りした。
サブドレン計画には、風評被害を深刻化させるのではという懸念がある。
それでも漁協側が容認したのは他に選択肢がなかったためである。
試験操業の範囲を広げる方向で協議を始めているが、そのためにも早く遮水壁を閉じること(下記)が必要
で、サブドレン計画を実施すれば、原子炉建屋に流れ込む地下水を減らすだけでなく、1〜4号機の海側遮水壁によって港湾内への汚染地下水の流出を食い止める効果
が期待される。
東電は「早期に遮水壁を閉じられないと、300トン以上の汚染水が毎日、海に流れ続けてしまう」と計画への理解を求めた。
漁協側は、「県の漁業復興が少しでも進むのならやむを得ないということだ」としている。
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東京電力は2015年3月25日、原子力規制委員会の第33回特定原子力施設監視・評価検討会に提出した資料で、2014年4月からの1年ほどの間に、福島第一原発から7420億ベクレルの放射性セシウムが海に漏出していたとの試算を明らかにした。
うち、護岸から専用港への流出が5100億ベクレルで最大である。
314日間の流出量 (億ベクレル) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
A排水溝とK排水溝からは外洋に流出 |
このうち、護岸からの流出に対しては、海側遮水壁で流出を防ぐこととなっていた筈である。
汚染水を漏らさない対策の一つとして、海側遮水壁(鋼鉄製の板の壁で、海底から海面上まで幅800mにわたり約700本)を設置し、内側を埋め立てるとなっていた。
しかし実際は、海側遮水壁が完成すると地下水が行き場を失って水位が上がるため、全780mのうち770mを造ったところで中断し、残り10mの部分から地下水を海に流出し続けている。
http://oshidori-makoken.com/?p=921
専用港では遮水壁未完成箇所を含め3箇所にシルトフェンス(海面から海底までカーテン状になっている汚濁防止フェンス)を張っているだけで、港外への流出防止は完全ではない。
(汚染水が流出してシルトフェンス内側の水量が増えると、フェンスを超えてフェンス外に出る。シルトフェンスの破損事故もあった。船が接岸する際はフェンスを外す。)
2015/3/28 福島第一原発から海への放射性物質流出
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東京電力は7月30日、福島第一原発3号機の海側にあるトレンチ(配管などが通る地下トンネル)にたまっていた高濃度汚染水の抜き取りが完了したと発表した。当初は、トレンチと建屋が接する部分の汚染水を凍らせて流れをせき止めたうえで抜き取る計画だったが、汚染水が十分凍らず、昨年11月からはトレンチをセメントで埋め立てながら汚染水を抜き取る方法に変更していた。
これで、「凍土遮水壁」の建設のめどが立った。
なお、多核種除去設備ALPSでの処理後のトリチウムを含む水は、トリチウムの処理方法は今のところないため、タンクに保管されたままである。
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