アメリカ国立衛生研究所(NIH)は9月11日、心臓病のリスクを減らし、50歳以上の人の高血圧での死亡率を減らすには最高血圧(収縮期血圧)を一般に推奨されているよりも低い120以下とすることを目指すべきだとの研究報告を発表した。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、通常140/90mmHg未満を降圧目標とし、糖尿病や蛋白尿を伴う慢性腎臓病ではさらに厳格な130/80mmHg未満を目標として推奨している。
75歳以上では150/90mmHg未満を目標とし、忍容性があれば140/90mmHg未満を目指すことを推奨している。
NIHがスポンサーのSystolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT) という研究の予備解析結果で、50歳以上で1つ以上の心血管病リスクを持つか、75歳以上である高血圧患者を対象に、降圧目標に関して120mmHg未満(平均3剤使用)と140mmHg未満(平均2剤使用)の群間で予後への影響を見た。
SPRINTはNIHの心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)が主スポンサーとなり、他に、NIHの糖尿病・消化器・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)、神経疾患・脳卒中研究所(National Institute of Neurological Disorders and Stroke)、老化研究所(National Institute on Aging)がコスポンサーとなっている。
対象者は9250人で、そのうち慢性腎臓病合併2648人、心血管病既往 1877人、75歳以上2636人であった。
120mmHg未満群で140mmHg 未満群と比較して心臓発作や心不全、脳卒中などの心血管イベントがほぼ3分の1に、死亡がほぼ4分の1と少なかった。
日本高血圧学会では、NIHも解析結果はまだ予備段階のものであることを強調しているとし、 「通常の降圧目標を140mmHg未満よりさらに厳格な120mmHg未満とすべきかどうかについては慎重な判断が求められます」としている。
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