国立科学博物館は、2008年から毎年、暮らしを大きく変えたり、産業の発展に貢献したりした技術を「重要科学技術史資料(愛称 未来技術遺産)」として登録しているが、9月1日、AIBO 、8ビットパソコン、 レーザディスクプレーヤ、タカヂアスターゼ など 25件を新しく選んだ。
このうち、化学関連は下記の通り。
00188号 海軍航空機用塗料 色別標準(色見本帳) 日本特殊塗料 1942年 00193号 カラーネガフィルム「フジカラー F-Ⅱ400」
世界初の高感度(ASA400)カラーネガフィルムフジフィルム 1976年 00207号 日本初のイオン交換樹脂の工業生産に係わる諸資料 山田化学工業 1939~ 00208号 タカヂアスターゼ 第一三共 1909 00209号 スタチンおよびその発見に関する月報と実験ノート 東京農工大学
科学博物館1971~
タカヂアスターゼ
タカヂアスターゼは高峰譲吉博士が1894年に発見した消化酵素を胃腸消化薬に製品化したもの。粉末状で取り出すことに成功した。
当時、高峰博士の一連の特許を元に米国のパーク・デービス社で製造され世界各国で発売されたが、博士の意向で日本では1899年に三共商店から発売された。
三共商店は高峰博士のタカヂアスターゼを技術導入して1899年に設立されたもので、1913年に三共株式会社となったが、この初代社長に高峰博士が就任している。
なお、最初の合成樹脂ベークライトは日本では早くも1911年に試作されているが、発明者のベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が特許権実施の承諾を受け、三共商店の品川工場で製造された。
1932年にベークライト部門が三共株式会社から独立し、日本ベークライト株式会社が設立された。その後1955年に住友化工材工業(1938年㈱合成樹脂工業所として設立)と合併、住友ベークライト株式会社になった。
三共の研究者であった遠藤章博士がスタチン類の最初の化合物(メバスタチン:ML-236B)をアオカビの培養液から発見した。
本資料は、大阪大学で日本で最初に患者の治療に使ったものと同じロットの錠剤と、この新薬を発見したときの過程を記録した遠藤博士の月報と助手の実験ノートスタチンの発明については
2008/9/16 米ラスカー賞に遠藤章・東京農工大名誉教授
2012/5/5 発明家殿堂
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過去の未来技術遺産のうち、化学関連は下記の通り。
登録番号 | 名称 | 所在地 | 製作年 | |
2008 | 00009号 | 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル | アロン化成 名古屋工場 |
1951 |
2009 | 00026号 | 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸 ― 日本最古のグルタミン酸 ― |
東大大学院 | 1908 |
00029号 | 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器 (1) アンモニア合成塔 (2) 混合ガス圧縮機 (3) 清浄塔 ― わが国初の本格的なアンモニア合成プラント ― |
旭化成 (延岡市) |
1923 | |
00039号 | 界面活性剤製造設備(TO リアクター) ― 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 ― |
ライオン 大阪工場 |
1976 | |
2010 | 00051号 | 合成ガス循環機 ― 日本初の国産アンモニア合成装置 ― |
昭和電工 川崎事業所 |
1930 |
00056号 | ビニロン(ポリビニルアルコール繊維) ― 国産初の合成繊維 ― |
クラレ 岡山事業所 |
1950 | |
00057号 | 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本 ― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 ― |
古河電工 (市原市) |
1950~ 1955頃 |
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00072号 | 上中啓三 アドレナリン実験ノート ― 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート ― |
教行寺 (西宮市) |
1900 | |
2011 | 00080号 | 硬質塩化ビニル板製造用プレス機 ― 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス ― |
三菱樹脂 長浜工場 |
1954 |
00082号 | "テトロン"糸生産第一号機 ― 日本初のポリエステル繊維製造装置 ― |
東レ (三島市) |
1958 | |
2012 | 00095号 | クロード法によるアンモニア国産化史料 アンモニア合成管用台盤、運転日誌、分離器 |
下関三井化学 | 1923~ 1930 |
00097号 | 国産初のPVC製LPレコード | 日本コロンビア | 1951 | |
00106号 | 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤 イソシアネート系PVA系接着剤量産工場 |
光洋産業 富士工場 |
1972年 | |
2013 | 00117号 | 量産初期のPVC樹脂製造装置 | カネカ大阪工場 | 1950年 |
00133号 | セメダインC | セメダイン | 1938年 | |
00135号 | 世界初の除虫菊を含む蚊取り線香 | 大日本除虫菊 | ||
2014 | 00154号 | 航空機製造用プリプレグ ボーイングの要求を満たして国産材料として初めて認定 繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させたシートを重ね合わせて所定の形状にし、熱硬化させて繊維強化プラスチックに |
横浜ゴム | 1978年 |
2011/10/8 「未来技術遺産」2013/9/12 未来技術遺産ー2013年
なお、日本化学会も別途、「化学遺産」を指定している。
2015/3/19 第6回化学遺産 発表
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