BASFとGazprom、断念した資産交換を実施、Nord Stream 2 計画もスタート

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BASFは9月4日、ロシアのGazpromとの間で2013年に締結したものの、2014年12月に「現在の厳しい政治情勢を踏まえ」断念した資産交換合意を復活させると発表した。

資産交換は2013年12月に合意し、2014年末に実施する予定で、欧州委員会からは2013年12月に承認を得ていたが、ロシアと西側諸国の間で緊張が高まったことから断念していた。

2014/12/25 BASF、Gazpromとの資産交換計画を断念

BASFは「当時の厳しい政治環境のため、BASFとGazpromは2014年末に予定していた資産交換を完了させない決定を下していた」が、「後日完了させる可能性は排除しておらず、今、この取引完了の共同決定に至った」と説明した。
BASFは
7月31日 に、下記のNord Stream 2 計画への参加を発表している。

2013年4月1日に遡って実施される。

BASFはGazpromに天然ガスのトレーディング事業を譲渡し、交換で鉱区権益を取得する。

譲渡するのは、

1)BASF子会社Wintershall とGazpromの50/50JVの天然ガスのトレーディングと貯蔵会社、WINGASとWIEH のWintershall 持分

  両社はGazprom 100%となり、WIEWIEHの100%子会社のWIEE もその結果、Gazprom に移る。

WINGASとベルリンに本社を持つWIEH(Wintershall Erdgas Handelshaus) はドイツのみならず、ベルギー、フランス、英国、オーストリア、オランダ、チェコなどに天然ガスを供給している。

WIEWIEHの100%子会社のWIEE (Wintershall Erdgas Handelshaus Zug) はスイスに本拠を置き、ルーマニアとブルガリアを中心に天然ガスを供給している。

2)  北海で石油の開発を行っているWintershallの100%子会社WINZ(Wintershall Noordzee)の50%持分

 

代わりにWintershallが譲り受けるのは、北極圏北海のUrengoyskoye 石油・ガス田のAchimov depositsの4A and 5Aブロックの開発権の25.01%。

Urengoyskoye 石油・ガス田は1966年発見で、北極圏のガス田で最大のもの。

今回取得する2鉱区は24億バレルの埋蔵量が見込まれ、2016年に生産が始まる予定であった。

Wintershall は長年、Gazpromと共同でシベリアのガス田を開発している。

 

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同じ9月4日、Gazprom とBASFその他の各社はNord Stream 2 pipeline 計画の実施に関する株主契約書に調印した。

Gazpromは2015年6月、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。

Gazpromは6月18日、同計画での協力についての覚書を、Royal Dutch Shell、ドイツのE.ON、オーストリアのOMV との間で締結した。
7月31日、BASF子会社Wintershall の参加を発表した。

2015/7/1  Nord Stream 倍増計画 

倍増計画のため、新会社 New European Pipeline AG が設立される。

参加する企業と出資比率は次のとおりとなった。

  Nprd-2 参考 Nord-1
Gazprom   51%   51.0%
BASF/Wintershall   10%   15.5%
E.ON   10%   15.5%
OMV   10%  
Shell   10%  
ENGIE     9%  
Nederlandse Gasunie      9.0%
GDF SUEZ      9.0%
     
 * ENGIEはフランスの電気・ガス事業者
   

 

米国やEU諸国はウクライナ問題でロシア制裁を続けているが、欧州のエネルギー企業にとってはロシアの資源を無視することは出来ず、制裁はほころび始めている。

 

 

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