ロッテ問題、韓国国会へ

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ロッテグループ創業者の重光武雄(辛格浩)氏の次男、重光昭夫(辛東彬)韓国ロッテグループ会長は9月17日、国会政務委員会による公正取引委員会の国政監査に証人として出席した。

韓国社会で再燃した財閥を嫌悪する感情を背景に、議員は相次いで批判し、同氏は釈明に追われた。

「王子の乱(兄弟間での一連の経営権争い)は終わったのか」との国会議員の質問に対し、「終わった。紛争が再発する可能性はない」と断言した。

韓国の国籍を維持する考えを示すと同時に、「ロッテは、韓国の商法に従い税金も納めており、従業員も韓国人のため、韓国企業だ」と強調した。

日本のロッテグループを対立した長男に任せる可能性については「分離経営は適切ではない」と述べ、否定した。

ロッテグループの持ち合いを解消するための核心課題であるホテルロッテの上場については、2016年6月までには終えるとし、辛格浩総括会長に上場の必要性を説明し、100%承認を受けたと明らかにした。

旧株売却の場合は日本のロッテが 約1兆-1兆5000億円の莫大な利益を得るとの議員の指摘に対し、新株発行で公募すると述べた。「まず公募で30%-40%にした後、いくつかの方法を通じて50%以上にする」と約束した。
ホテルロッテ上場時、日本の株主に上場差益が発生する可能性があるが、総括会長ら特殊関係にある株式を合わせて24%以上なら、韓日租税条約に基づき差益の部分に対する税金は韓国政府に納付すると規定されているとし、差益については韓国で税金を納付すると説明した。

国民に謝罪する機会を与えられると、証人席から立ち上がり、「家族間の出来事で国民、議員の皆さんにご心配をおかけし、心からおわびします」と謝罪した。

付記

重光宏之氏は10月8日、ソウルで記者会見し、創業者で父の重光武雄名誉会長が7月に会長職を不当に解任されたとして、日本で解任の無効訴訟を起こしたと明らかにした。
また宏之氏は韓国のホテルロッテ、ロッテホテル釜山の理事(取締役)解任に伴う損害賠償請求訴訟を韓国で起こした。

付記

創業家の資産管理会社で、ロッテホールディングスの株式の28.1%を持つ筆頭株主である光潤社は10月14日、臨時株主総会を開き、次男の昭夫氏を、光潤社の取締役から解任する議案を承認した。
さらに株主総会のあとの取締役会で、光潤社の代表権を創業者の武雄氏から長男の宏之氏に移したほか、宏之氏が武雄氏の持つ株式(50%)を譲り受け、光潤社の議決権の過半数(50%プラス1株)を保有することを承認した。(昭夫氏は38%)

ロッテホールディングスは「経営への影響はない」としている。

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韓国公正取引委員会の委員長は、同じ国政監査で、グループの実質的な支配者は誰かと野党議員に問われ、「グループ創業者の辛格浩(重光武雄)氏ではなく、次男の辛東彬(昭夫)韓国ロッテグループ会長だ」との認識を示した。

韓国の公正取引法 では「企業集団」を、「『同一人』が事実上、事業内容を支配している企業の集まり」と定義しており、総帥(=財閥のトップ)がいる財閥は総帥が「同一人」となる。
ロッテの「同一人」を現在の辛格浩氏から辛東彬氏に変更する可能性については「検討している」とし、来年4月1日に指定する際に変更もあり得ると説明した。

経営権をめぐる先の創業家一族のお家騒動を踏まえ、与党議員が「ロッテグループは商法手続きを無視して経営権を継承し、前近代的な家族経営をしている」と指摘すると、委員長は「われわれもそのようにみている」と同意し、ロッテは非常に特殊なケースだと述べた。

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