米司法省と湾岸5州は10月5日、2010年4月20日のメキシコ湾原油流出事故に関するBPへの民事訴訟 ー Clean Water Act に基づく訴訟、Oil Pollution Actに基づく自然資源への被害に対する訴訟、湾岸5州や地方自治体の経済被害に対する訴訟などが解決したと発表した。
今回の解決は総額208億ドルに達し、司法省の歴史で1企業に対する最大の和解額となる。
事故では11名が死亡、3ヶ月にわたり300万バレル以上の原油が流出した。原油は数百マイルも流れ、油膜は43千平方マイルの地域に広がり、水生動植物に被害を与えた。
油は少なくとも400平方マイルの海底に沈み、テキサスからフロリダまで1300マイル以上の海岸に流れ着いた。
湾岸の重要産業である漁業や観光に被害を与え、数千の鳥類や水生動物を殺した。
米司法省は2010年12月15日、BPと三井石油開発子会社MOEXなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こした。
湾岸5州 - Alabama、Florida、Louisiana、Mississippi、Texas - も訴訟を起こした。
2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴
BPは2015年7月2日、米連邦政府や湾岸5州と総額で最大187億ドルを18年間にわたって支払うことで和解した。
今後、本件を裁いていたNew Orleans District Court のCarl Barbier 判事の承認を得る必要がある。
2015/7/4 英BP、メキシコ湾原油流出事故で米政府等と和解
これについて、金利等の加算など一部修正し、10月5日に裁判所で確定したもの。
内容は下記の通りで、支払は分割で行われる。
内容 金額
Clean Water Act (CWA)による罰金+金利 55億ドル 80%は RESTORE Actに基づき湾岸の復興に使用 天然資源被害(NRD) 81億ドル うち10億ドルは既に支払約束済みのもの 7億ドル 未知の被害に対するもの 経済的被害、その他被害 6億ドル 湾岸5州への支払 49億ドル 地方自治体への支払 10億ドル 合計 208億ドル BPは下記の通り、刑事訴訟でも政府に40億ドルを払っており、政府(地方を含む)への支払は248億ドルとなる。
事故に関しては、これ以外に政府に対して下記の支払が既に決定している。
相手先 内容 金額 BP 刑事訴訟(11名死亡に関する11の違法行為とClean Water Act、渡り鳥条約、議会妨害に関する違法行為の合計14の罪状)
40億ドル
2012/11/17 BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解 三井石油開発 Clean Water Act に基づく罰金 70百万ドル 環境保全のための土地買収 20百万ドル 2012/2/20 メキシコ湾原油流出事故で三井石油開発が米政府と和解
別途、三井石油開発は事故損失負担でBPに10億6500万ドルを支払っている。
2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解Transocean 刑事訴訟(問題あるのに調査せず) 4億ドル Clean Water Act 10億ドル 2013/1/8 Transocean 、Deepwater Horizon 事故で罰金14億ドル支払い
Clean Water Act 関係では、Anadarkoがまだ決着していない。同社はBPと共に最高裁に訴えたが、2015年6月に拒絶されている。
同社に対しては、判事は「Ownerとしての責任のみ」としており、政府は2014年12月に10億ドルを求めている。
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