DuPont は10月5日、CEO で会長の Ellen Kullman (59) が10月16日に退任すると発表した。
昨年来、物言う株主(Activist)のNelson Peltz が率いる米Trian Fund Management が会社の分割を要求してきたが、5月13日の株主総会で非常に僅差であったが勝利し、取締役12名全員の留任が承認されたばかり。
2015/5/15 DuPont、株主総会で物言う株主に勝利
取締役会が正式な後任を探す間、取締役会メンバーのEdward Breenが暫定的に会長兼社長となる。
DuPont は同時に、年間の1株当たり営業利益が当初予定の3.10ドルから2.75ドルに下がる予想であることを明らかにした。
理由としては、新興国通貨、特にブラジルのReal に対する米ドル高や、特にブラジルなどでの農産物市場の低迷を挙げている。
デュポンの業績が急激に暗転したのは、ブラジルの業績悪化が理由とされる。
中国が当初予想されたほどブラジルから穀物を買い付けなかったことにより、中国からの需要を当て込んでいたブラジルの農家が需要減で打撃を受け、これに加えて、Brazil Realの急落で、業績が悪化したと報じられている。
同社はコスト削減計画を1年前倒しし、足元のペースに基づき16年末までに13億ドル、17年末までに約16億ドルのコストを節減する見通しとした。具体的な節減策は説明しなかった。
CEOの急な退任は、業績悪化の責任を取ったものと見られている。
DuPontの第5位株主で、DuPontの分割を要求し続けているTrian Fund Management の共同創業者Ed Gardenは10月5日のインタビューで、同社株を買い増したことを明らかにした。
同ファンドは Kullman CEOが利益目標を達成できていないと繰り返し批判している。
報道によると、Trian Fund Managementは10月5日、GE株の約1%を約25億ドルで取得した。
GEは今年4月、同社の主力事業のひとつの金融部門 GE Capitalの大半を売却し、航空機エンジンや発電機、医療分野などの主力の産業分野に集中すると発表したが、この方針に反対している。
Ellen J. Kullman は2008年10月1日付けでDuPontの社長に就任、2009年1月1日付でCEOに、2009年12月31日付けで会長に就任した。
Kullman 社長は1988年にGeneral Electric からDuPont に移った。
2002年2月から2006年6月まではDuPont Safety & Protection部門を担当、2006年6月以降、副社長として同社の5事業のうちの4事業(Coatings & Color Technologies、Electronic & Communication Technologies、Performance Materials、Safety & Protection businesses)の責任者であった。
この2年間は広くHolliday CEOの後継者と見られており、CEOを引き継ぐ教育を受けてきた。
Kullman社長は、4つのコア分野(農業、safety and protection、開発途上国市場、コスト低減)に注力し、DuPont の収益力を伸ばしたいと述べた。
2008/9/25 DuPont、社長・CEOにEllen J. Kullman を選任
2011年5月にデンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDaniscoを買収している。
2011/5/27 DuPont、Daniscoの買収成功
DuPontは本年7月、成長分野に集中するため、酸化チタンを中心に、フッ素化学品、フッ素樹脂などを扱う Performance Chemicals部門を分離し、新会社The Chemours CompanyとしてNYSEに上場した。
DuPont 株主に、DuPont株式 5株当たり新会社株式 1株を配当として支払った。
2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離
これに対し、Trian Fund Management はPerformance Chemicals部門に加え、DuPontを2社に分割することを求めている。
GrowthCo (Agriculture, Nutrition and Health, Industrial Biosciences) CyclicalCo/CashCo (Performance Materials, Safety and Protection, Electronics and Communications)
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