出光興産は9月30日、ポリカーボネート樹脂「タフロン」の生産について下記の発表を行った。
本年12月をもって千葉工場のポリカーボネート製造装置の運転を停止する。
生産は、技術ライセンス先であるFormosa Chemicals & Fibre Corporation (FCFC) へ集約する。
出光興産の千葉の能力は公称47千トンであったが、同社によると、2013年以降、千葉工場からFCFCへの生産集約を段階的に進めており、今回、特殊グレードも集約することで、全グレードの生産をFCFCで行うことになる。
FCFCの現在の能力は年産20万トンとなっている。
出光興産のポリカーボネートは下記の通り(以前の出光石油化学の資料)。
出光独自技術により製造(1960年にポリカーボネートを自社技術により工業化)、
世界でも出光のみ、原油からの一貫生産を実施
日本より全世界(ヨーロッパ、アメリカ、アジア)へ販売
環境問題を考慮し、ノンハロゲン難燃グレードの開発に力を入れている。
出光石油化学は1999年12月16日、台湾最大手の石油化学グループ Formosa Plastics Groupの中核企業であるFormosa Chemicals & Fibre Corporation とのCD用PC樹脂に関する合弁事業合意を発表した。
合意内容
(1)製造設備 出光技術で下記の工場を建設
能力:15万t/年(5万t/年×3系列)
2001年末5万t完工後、出来る限り早期に15万t 完工
製造品目:ポリカーボネート樹脂CDグレード
一部OA、自動車分野向けPCアロイのベース原料(PC/ABS,PC/PS)
建設地:台湾省 雲林縣 麦寮工業区原料ビスフェノールA:Formosa Plastics Group のNan Ya Plasctics が供給
(2)合弁事業の形態
出光とFCFCとの折半出資による合弁会社
台化出光石油化学 (Formosa Idemitsu Petrochemical )この時点の発表からはJVが生産するような印象を受けるが、その後の発表によると、生産はFCFCが行っている模様で、「弊社とFCFCの折半合弁会社である台化出光石油化学を通じて、台湾・中国を始め世界のCD、DVD等の光ディスク・マーケットに供給しており、品質面で高い評価を得ております」となっている。
現在の社名は「台北出光石油化学」(以前は「台化」)で、折半出資の販売会社となっている。
第1期 5万トン(基礎設計は10万トンへの増設可能)は2002年に完成した。
両社は2000年12月、第2期 5万トンを当初より1年前倒しして実施することで合意し、2003年6月から10万トン体制になった。
2005年4月に第3期 75千トンの建設で合意したが、2006年11月に更に、既存2系列100千トンをボトルネック解消で125千トンとすることを決めた。
これにより、FCFCの現在の合計能力は200千トンとなっている。
Formosaグループの麦寮コンプレックスに立地し、安定的な原料供給と、20万tの生産能力によりアジアトップクラスの競争力を誇っており、出光では「今回の生産集約により、タフロンの競争力をさらに高め、日本はじめ世界各国へのより一層の安定供給に努めてまいります」としている。
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なお、出光石油化学はブラジルのポリカーボネートメーカーのPC do Brazil (能力2万トン)に33%出資していた。
しかし、2002年に出光石油化学の業績が悪化し、出光興産が増資100億円を引き受けるとともに、海外の不採算事業からの撤退を促した。
この結果、PC do Brazil の持株を地元企業に売却し、撤退した。
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