三井物産、米テキサス州でのメタノール生産開始

| コメント(0)
三井物産とCelanese Corporationが折半出資して設立したFairway Methanol がこのたび、年間生産能力130万トン規模でメタノールの生産を開始した。


両社は2013年5月15日、
折半出資の事業会社を設立しテキサス州パサデナのCelaneseの工場内でメタノール製造を行うことで合意し、合弁契約書を締結した。

三井物産は米国シェールガス・オイル革命により安定供給と価格競争力が期待できる原料ガスの優位性に着目し、世界第2位のメタノール市場である米国で事業参画の機会をうかがっていた。
一方、世界最大のメタノール需要家の一社であるCelaneseは、パートナーとの合弁によるメタノール製造事業を検討しており、両社の意向が合致した結果、同事業を共同で推進することとなった。

年産130万トンの大型プラントを建設し、製造したメタノールは両社が引取り、三井物産は主に米国内で販売し、Celaneseは自社の川下製品の原料として使用する。

三井物産が既に取り組んでいる米シェールガス関連事業とも連携して、天然ガスから化学品へのガスバリューチェーンを築き、エネルギー事業と化学品事業の共同取組により総合力を発揮する。

合弁契約書の概要は下記の通り。

社名 Fairway Methanol LLC
所在地 テキサス州パサデナ市 Celanese 工場内
設立 2013年12月2日
出資
事業内容 メタノールの製造・販売
生産能力 年産130万トン
引き取り
三井物産 50% 主に米国内で販売
Celanese 50% 自家使用
プロジェクトコスト 約8億米ドル

メタノールは接着剤や合成樹脂、医薬品などに加え、近年では中国を中心にエチレン・プロピレンの製造にも用いられるなど多岐にわたる産業の基礎原料として使用されており、今後も安定的な需要の伸長が見込まれる。

ーーー

Celanese の基はドイツのHenri Dreyfus が1913年に設立したCellonit Gesellschaft Dreyfus (セルロイド製造)で、その後、航空機用ペイント、その原料の酢酸の製造を行った。英国、米国にも進出、第一次大戦後の需要減でアセテートの製造を始めた。

1961年に米Celanese はヘキストとの合弁で Ticona を設立、1964年には米 Celanese は日本でダイセルとの合弁でポリプラスチックを設立している。

1987年にヘキストがCelanese を買収したが、1997年にヘキストは事業再編でTiconaを分離、1998年に化学部門を新Celaneseとして分離した。
  ヘキストはローヌプーランと統合してAventisとなり、その後、Sanofi Aventis となっている。
 
TiconaはCelanese子会社となった。

2004年に米投資会社のBlackstone Capital PartnersがCelanese をTOBにより38億ドルで買収し、ドイツ株式市場から上場廃止とした。
同社はその後、順次持株を売却し、2007年5月に残り株式を売却して、完全にCelanese から離脱した。

2007/6/2 米投資会社 Blackstone、Celanese 株式の売却完了



Celaneseの売上構成は下記のとおりで、酢酸チェーンが主である。

酢酸の製法には、アセトアルデヒド法(エチレン→アセトアルデヒド→酢酸)、メタノール法(メタノールと一酸化炭素から酢酸を合成)、昭和電工の直接酸化法エチレンを直接酸化)があるが、Celaneseはメタノール法を採用しており、世界最大のメタノール需要家である。フォルムアルデヒド用にもメタノールを使用する。



同社は世界中で酢酸チェーンを展開している。

                        2007/2/22 セラニーズの中国での活動


コメントする

月別 アーカイブ