カイゲンファーマ、医療用人工骨を製造  

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カイゲンファーマは2016年4月にも国内の自社工場で医療用人工骨の製造を始める。
米国に 人工骨を輸出する医療機器ベンチャーのオルソリバースから生産を受託することで基本合意した。

オルソリバース(OrthoReBirth)は名古屋工業大学の春日敏宏教授の人工骨の研究譲渡を受け2011年に設立した研究開発ベンチャーで、骨の損傷部分に詰めて再生を促す綿状の人工骨レボシス(ReBOSSIS)」を開発した。

人工骨は欠けた骨の替わりや、骨にできた腫瘍を削った穴を埋めるもの。
従来の人工骨はブロック状や板状、粒状といった形で、患部の形に合わせてけずる手間がかかったり、逆に小さな粒上の人工骨では患部からこぼれ出るなどの不便さがあり、骨の形成がうまくいかないことも多かった。

オルソリバースは素材の配合を工夫するなどして繊維状に加工した。綿のように形状を自在に変えられ、どんな骨の損傷部にも対応できる。さらに綿の隙間に骨のもととなる細胞が入り込むため、より自然な形で骨を再生させることができる 。

主な特長は、綿形状であること、優れたハンドリング性、高い吸水保水性、吸収置換性で、生体吸収性に優れる β-TCP(β-リン酸三カルシウム)、PLLa(ポリ乳酸)、骨形成を促進させるSiV(ケイ素含有炭酸カルシウム)を主成分としている。

オルソリバースは2014年10月に米国で外傷用の医療機器としてFDAから販売許可を取得した。
同社は2015年3月、オーストリアに本社を構え外傷領域における医療機器を製造販売するITSの米国子会社ITS-USと販売代理店契約を結んだ。

カイゲンはこの生産を受託するもので、2016年4月にも米国向けの製造を始める計画。

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カイゲンファーマは堺化学の100%子会社で、風邪薬「改源」が知られる。
2015年3月期の単独売上高は88億円で、造影剤に使うバリウムなど医療用医薬品が売上高の7割を占める。人工骨事業を医療用医薬品に次ぐ収益の柱に育てる考え。

1924年に家庭薬卸問屋中西武商店が創業、「改源」の販売を開始した。1956年に改源株式会社となった。

酸化チタン等のメーカーの堺化学は1963年に医薬品に進出を決め、1964年に改源を買収し、1966年にこれをカイゲンに改称した。

1973年に堺化学、堺商事、カイゲンと北海道の共成製薬が提携し、堺化学グループを形成した。

2013年4月1日、堺化学の医薬事業を分割し、カイゲンに承継させ、さらにカイゲンと共成製薬を合併させ、カイゲンファーマを発足させた。

カイゲンファーマは2014年12月、医療用注射針およびその部材の輸出を主業とする松岡メディテックを買収した。

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オルソリバースでは、沖縄高等専門学校・池松真也教授らのチームとの共同研究で、2015年4月からReBOSSIS技術を応用した抗がん剤の開発を行っている。

綿形状という形状加工性に優れ、有効成分の除放後は完全に体内に吸収される特性をもつReBOSSISを薬剤キャリアとして利用しようとするもので、骨形成を促すリン酸カルシウム等骨形成の成分の代わりに抗がん剤を練り込むというもの。

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